第五十八話 ヌーベルトリステイン
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く捕まえないと逃げるぞ」
周囲を警戒していたジャックが言った。
「あの狐以外に獣は他に居ないみたいですね?」
「ちょうど良いや、さっさと捕まえちまおうぜ。そういう訳でアニエス行って来い」
「私に振るんですか……まあ、いいですけど」
アニエスは、ゆっくりと狐に近づき捕まえるタイミングを計っていた。
「よしよし逃げるなよ〜」
アニエスが手で触れようとすると、狐はサッと身を翻し逃げ出した。
「逃げた!」
「おい、逃がすな」
「なにやってんの!」
狐と人間の追いかけっこが始まり、最終的に捕まえることが出来た。
その後、合流しマクシミリアン達が河岸に着く頃には、十頭を越す獣が捕獲された。獣を調査した結果、目新しいウィルスは確認しなかった。捕らえられた獣達は野に放された。
☆ ☆ ☆
上陸から一ヶ月経ち、マクシミリアン一行は半島の根っこの部分に流れていた二つの河に挟まれた三角州に、港と砦を築き本拠地にしていた。
三角州は『アルゴルキン島』と名付けられ、マクシミリアンの土魔法で砦や高い城壁が建てられ外敵からの侵入に対処した。
城壁の各所にはベルギカ号から下ろされた24リーブル砲が16門配備されていた。
学者達は、砦内にそれぞれの研究室を構え、日々研究に勤しんでいる。エレオノールもシュヴルーズの地質学の研究室に住み込みで暮らしている。
港にはベルギカ号の姿は無く、彼らは入植者の派遣の要請と周辺の地図、そしてアルゴルキン島郊外に群生していたトウモロコシやカボチャ等の新種の植物をを持ってトリステインに帰国した。
帰国の際、防衛の為に水兵を十数名降ろしたが、それでも『アルゴルキン砦』にはマクシミリアンとセバスチャン、コマンド隊にエレオノールら学術団と僅かな水兵の百名程度しか居なかった。
これら、アルゴルキン島を中心とする入植地は、新トリスタニアと命名され、後は入植者の到着を待つのみとなった。
懸念された原住民との接触は一ヶ月経った今でも無く、奥地への探索は新トリスタニアの防衛、補給などの各体制が整ってから行う予定だった。
……
この日のマクシミリアンは、アニエスとセバスチャンを伴って、農夫の様な粗末な格好でアルゴルキン島の東、地球でいうロングアイランド周辺に探索に出ていた。
マクシミリアンはこの一帯を大規模な農地に変える積りだった。
「アニエス、セバスチャン、下がっていてくれ」
そう言って、杖を振るいスペルを唱えると、マクシミリアンの周辺の大地が生き物の様に波打ち、ぺっぺっ、と石や小石を吐き出し始め
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