第二部
Wake Up
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は。
「最後まで私の隣を歩きなさい、歩き続けるのよッ! いや、歩き続けろレックス・ディヴァイザァァァァァァァァァッッッッ!!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ああそうか……。そうだった……。私が努力した一番の理由はクリスと肩を並べて歩き、共に進みたかったからだ……)
心に熱が生まれ体に力が漲る。
かつてのことを思い出す。
(クリスが褒めてくれれば苦痛なんか全て吹き飛んでいった。私が初めて試合で勝てた時は最高だった。泣いて喜んでくれたんだ。まるで我が事のように)
レックスは師に言われた。
人は[強さ]を求めていくと何時かは必ず道を踏み外してしまう。
そして『人』から『鬼』になると。
しかしレックスはそれを選んだ。
他に方法が無かったから。
例え人では無くなってしまうとしても辿り着きたい場所が在り、欲しいものが有った。
(クリスと対等になりたかった。彼女に相応しい男に。でももう後戻りすることは)
「クリスの想いや俺の想いがまだ解かんねぇのか!? 俺達が許せないことが有るのなら今みたいな生き方をしてることだッ!! 早いとこ戻ってきやがれッ!!!」
紫闇はレックスが好きでしょうがない。本気で殺されても良いと思っている。
レックスが納得するというのならとことん、それこそ死ぬまで自分が付き合ってやるという想いを抱いているのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
レックスは戻っていた。
あの頃の熱さが。
紫闇とクリスの熱に当てられたせいで心身ともに滾っている。
もう負けるつもりなど無い。
そんなことは頭から消えていた。
諦念や己への失望。
それらレックスの歩みを止めていたものは情熱で燃え上がり灰と化していく。
(こいつには、この男には、立華紫闇だけには負けたくない……!!)
レックスから久しく遠退いていた勝利への執念と渇望が息を吹き返す。
勝ちたいのだ。
クリスの弟分で在る為に。
何より純粋に闘技者として思う。
この凄まじい好敵手を倒したいと。
(敗北する運命だとしても今回だけは諦めたくない。諦められない。そんなことを出来はしない。紫闇が相手だから)
「絶対に……勝つッ!!」
レックスが帰ってきた。
凡才しか持たず、最弱の異能を抱え、自分の外装すら満足に扱えなかった落ちこぼれ。
そんな状態から諦念を捩じ伏せ、地獄を乗り越え、数多の敵を倒し、大英帝国で魔神に次ぐ国内最強の地位にまで登り詰めた不屈の魔術師が。
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