生きている理由
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ナツ。だが、彼のその回答に全員が目を細めた。
「シリルを追いかけなかったのか?」
シリルはここに来たことはナツの言葉から間違いない。それなのに、彼はこの場に留まり続けている。
「兄ちゃんと初代がいるからな・・・心配で・・・」
彼らしくない覇気のない言葉に顔を見合わせる面々。変な空気になっていると、倒れていた二人の体が小さく揺れた。
「兄ちゃん!!初代!!」
ゆっくりと目を覚ました二人に覆い被さるような勢いで飛び付くナツ。そんな彼を他の数人が引き剥がしていた。
「ナツ?」
うっすらと開けた目で弟の姿を捉えたゼレフは、心配そうに見つめる彼に違和感を持った。
「あれ・・・僕は生きているのか・・・?」
ナツとの戦いで力を使いきり、シリルにわずかながらの妖精の心臓の力も持っていかれたゼレフは、まだ自らがこの世に生を受けていることが信じられないでいる。
「やっぱり僕たちは死ぬことができないんだね・・・」
しかし、それもすぐに納得することができた。不老不死であるが故に、死ぬことができなかったのだと。それを聞いたナツは苦虫を噛み潰したような表情になっていた。
「どうしたんだい?ナツ」
そんなナツを心配するゼレフ。彼が心配される立場なのだが、そんなことを気にするものはいない。
「・・・いや、なんでもねぇよ」
シリルが言っていたことを真実だとは思っていない。それでも、その事実を告げない方がいいと彼は悟り、そう答えた。
「そういえば・・・シリルはどこに行ったんだい?」
自分たちから魔力を取っていった少年がどこにいるのか、辺りを見渡しても当然のように彼はいない。ナツや他のものたちは、彼がどこにいるのかわからないため、首を横に振ることしかできない。
「そうか・・・いや、何をしてるかは大体分かるけどね」
痛む体をゆっくりと起こしていくゼレフ。それに同調するように、ここまで何も言葉を発してこなかったメイビスも起き上がる。
「おい!!まだ動いちゃダメだ!!」
安静にしていなければいけないであろう二人がフラフラとしながら立ち上がる。ナツはそれを制止しようとするが、逆にゼレフは彼の肩に手をかけ立ち上がった。
「きっと彼はティオスを止めに行ったんだろう・・・そうなると、僕たちは見届けなければ行けないね」
「シリルの言ってたことを気にしてるのか?」
シリルから無責任と言われたからそんなことを言い出したのかと思ったが、二人は小さく首を振った。
「皆さんには迷惑をかけました。それなのに、私たちは自分たちだけ勝手に終わらせようとしてしまいました」
「彼の言う通り、無責任だと思う。ただ、それ以上にやらなければいけないことがある気がす
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