生きている理由
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ウェンディside
ここに来た時から、確かに違和感がありました。いつものシリルとは・・・明らかに違う何かが・・・
「シリ・・・ル?」
どんどん黒い何かに侵食されていく彼に恐る恐る声をかけます。変ですよね、大切な人のはずなのに・・・こんなにビクつきながら声をかけるなんて・・・
「ウェンディ!!」
呆然としている私の後ろから声が聞こえました。そちらに思わず振り返ると、そこには大慌てでカミューニさんとジェラールさんが走ってきていました。
「ここから離れるぞ!!」
「ティオスの目が離れている今しかない!!」
私の腕を掴むジェラールさん。その行動のおかげで、私は何とか正気を取り戻しました。
「イヤです!!シリルが頑張ってるのにーーー」
「そのシリルの足手まといになりかねないんだぞ!!」
大声を出したジェラールさんは思わず口を塞ぎました。でも、レオンは全然こちらに視線を向けようとはしません。
「ごめんなさい・・・私・・・」
焦る二人の気持ちがよく伝わってきます。レオンもシリルも今の私たちとは明らかにランクが違います。それなのに、私は冷静さを失い、こんな戦いの渦中に自ら入り込んでしまいました。
「いい!!謝ってる暇があるならすぐ離脱するぞ!!」
「了解」
私とカミューニさんの手を取り、魔力を溜めるジェラールさん。私は彼の魔力が溜まりきる前に、もう一度シリルに声をかけます。
「シリル!!絶対に勝ってね!!」
いつもだったら彼はここで必ず返事をしてくれます。でも、この時の彼はレオンを見たまま、微動だにしませんでした。
「流星!!」
シリルが返事をすることなくジェラールさんの魔法でその場から離れる私たち。対峙する二人から次第に離れていく私は、不安さを拭いきれずにいました。
第三者side
「いいのか?ウェンディに返事しなくて」
三人の姿が見えなくなったタイミングで、ティオスが目の前の敵に問い掛ける。しかしそれは、決してシリルを甘く見ての行動ではない。一切の隙のない彼に、心の隙をわずかにでも生ませようとした結果だった。
それに対するシリルの回答は、本来の彼からすればあり得ないようなものだった。
「それをすれば何か俺にメリットがあるのか?」
「・・・」
仲間との絆を最も大切にしている妖精の尻尾の一員とは思えないような発言にイヤな汗が流れ出る。ティオスはそれを拭うことすらできず、彼の腕、足、呼吸にすら警戒心を高める。
「お前らしくないな・・・いつも仲間から力をもらっているんだろ?」
気付かれないように足場を作りながら相手の注意を引こ
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