暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第15節「夢の中で逢った、ような……」
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ゃ引き続き周囲を見て回ろう」






「……と思ったけど、そんなにわたしたちお金持ってなかったね」

しばらくして、財布の中身が思っていた以上に心許なかったことに気が付いた二人は、がっくりと肩を落としていた。

「巡回、あっけなく終了……」
「デェェェェェスッ! これじゃあ、うまいもんマップは完成できないし、あいつらからペンダントもーッ! それに、お腹も四分目くらいだから、成功確率も怪しいデス……」
「マップは仕方ないよ。ただペンダントは別の方法で……」

物惜し気にうまいもんマップを見ながら項垂れる切歌。その肩に手を置く調。

先程までの陽気は何処へやら、見る見るうちに落ち込んでいく二人。

――そこへ向かってくる、二つの足音があった。

「あれ? 君達、もしかして……」
「さっきの子達……だよね?」
「……え?」
「あーッ!? 今朝のお兄さんたちデスか!?」

足音の主は、紫髪で双子の少年達……大野兄弟であった。

「さっきは逃がしてくれてありがとう」
「兄さん、二人が無事だったかすごく気にしてたんだよ」
「そ、それはどうもデース。あはは……」

あの後、集まってきたノイズは全てギアで切り刻んでしまったのだが、それを話すわけにはいかない。
二課に嗅ぎ付けられる前に全て片付けられただけでも僥倖だ。

「あの人、無事に送り届けられましたか?」
「うん。君たちのおかげでね。二人は僕らの命の恩人だよ」
「え、えへへ……そんな照れるデスよ」

切歌が照れ臭そうにはにかみ、調の口元が少し緩む。
すると、飛鳥がふと思いついたように手を叩いた。

「そうだッ! お礼と言うには足りないかもしれないが、この券、よかったら使ってくれて構わないぞ」

そう言って飛鳥は懐から、なにやら文字が印刷された画用紙の束を取り出した。

「……これは?」
「この学園祭の無料券だ」
「デ、デスッ!? 無料ッ!?」
「屋台の食べ物も、催し物もぜーんぶ使えるお得な券だよ」
「えッ……でも……」
「はい、僕からも。お昼はもう食べちゃったし、使われないままだと勿体ないから」

流星も、自分の無料券を取り出し、二人に渡す。
二人が券を受け取ると、兄弟は踵を返した。

「それじゃ、僕らはこの辺で」
「……そうだ。君、名前は?」

流星は思い出したように振り返ると、調の方をまっすぐ見つめながらそう言った。

「月読調です」
「調ちゃん……か。いい名前だね」

調の名前を聞き、流星は何処か満足そうに笑う。

「僕は流星、大野流星」
「流星……さん?」
「そう。……覚えてくれると、嬉しいな」
「流星……? どうしたんだ、急に」

飛鳥が首を傾げるが、流星は答えない。
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