第15節「夢の中で逢った、ような……」
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「恐るべし学園祭だね」
「とりあえず調、回ってみるデスよッ!」
任務を一旦忘れ、二人は校庭の出店を見て回り始めた。
「たこ焼きに磯辺焼き……チョコバナナにりんご飴……」
「ベビーカステラ、わたあめ、かき氷……あっちはえっと……」
「食べたことのないものばかりデスッ!」
潜入美人捜査官メガネの奥で、ぱっちりおめめをキラキラさせながら、少女達はどんどん歩を進めていく。
しばらく進んだ頃、ある店の前で切歌が足を止めた。
「あわわッ、デ、デースッ!? 調……見てくださいッ!」
「どうしたの?」
「角にあるクレープ屋さん……100円って書いてあるデスッ!」
「クレープが……100円? びっくりな価格破壊……」
「こ、ここは……天国デスか? 天国なのデスかッ!? とにかく近づいてみるデスよ。本当かどうか確かめるデスッ!」
「うん、行こう切ちゃんッ!」
仲良く手を繋いで、二人はクレープ屋へと近づいていった。
そして数分後……。
「もぐもぐもぐ……チョコバナナ……もぐ……」
「あむ……はむ……カスタードいちご……あむ」
「あああ……美味しいデス〜」
「うん、幸せだね……」
購入したクレープを、二人はニコニコ笑顔で頬張っていた。
食べ終わったクレープの包みをゴミ箱に入れ、校門付近で配布されていたマップを握りながら切歌は叫んだ。
「最早ここに来たのは運命ッ! こうなったら、うまいもんマップを完成させるしかッ! まだ見ぬ美味しいものがアタシたちを待っているのデェェェスッ!」
「じー……」
「な、なんデスか、調?」
調は切歌をジト目で見ながら答える。
「……目的を忘れないでね、切ちゃん。わたしたちはペンダントを奪取しに来たってこと。食べ歩きばかりしてないで、早くあの人たちを探さなきゃ」
「も、もちろん覚えてるデスよ〜……。だからこうして、目を光らせながら学園を回っているんじゃないデスか」
目を泳がせながら誤魔化そうとする切歌。
しかし、調は眼光鋭く切歌にジト目を向け続ける。
「そうかな? 切ちゃんの目の輝きは、屋台に向けられているように見えたけど……」
「そ、そ、そんなことないデス。ちゃんとあいつらを探してるデスよ〜」
「……本当に?」
「それにデスよ。あいつらと戦う前に美味しい物をたくさん食べておけば、それだけ成功確率も上がるデス。腹が減ってはなんとやらデスッ!」
本当はただ切歌がお腹を空かせ、食い意地を張っているだけなのであるが……そうと分かっていても、やはり調も切歌と同じ食べ盛りの女の子。
それに加え、今は丁度お昼時。丁度いい時間帯なのかもしれない。
そう判断した調は、切歌の提案に乗ることに決めた。
「……わかったよ、切ちゃん。それじ
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