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曇天に哭く修羅
第二部
Get it back
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そして大きく口を開く。


噛み付き(バイティング)ですか)


レックスの首を狙う紫闇の口。

しかしレックスは慌てない。

口から針を吹き出す。

紫闇は思わず反射で躱した。

回避が元で拘束が緩んだレックスは軟体動物のようにすり抜け紫闇と同時に立つ。

そこからは打撃の応酬。

更に口論も並行した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「自分の限界を決め付けてんじゃねぇ! たかだか一回心が折れただけで立ち止まりやがって! この根性無しがぁッ!」

「黙りなさい夢想家」


レックスは苦い顔をする。


「そもそも折れた理由が下らない。命乞いしたからどうした? そんなんで自分に失望してたらきり無えよ。自分の可能性を見限んなッ!」


レックスは紫闇の言葉を止めようとボディーに向かって痛烈な打撃を打ち込む。


「黙れと言っている……」


紫闇は思わず胃液が口へ昇ってきそうになるのを堪/こらえて叫ぶ。


「死んだ母親が今のあんたを見たらどう思うかねぇッ! 良い反応は貰えないだろうよッ! あんたは死んだ母親に顔向け───」


レックスはキレた(・・・)

彼の攻撃が激しくなる。


「お前に何が解る! 母を奪われたッ! 抗っても意味が無かったッ! 貴様に私の絶望を理解できてたまるものかッ!」


何もかも諦めたレックス。

それを否定する紫闇。

言葉だけでは伝えきれず理解できないことが有るから身をぶつけ合って戦う。


「諦めを否定して自分を信じ抜き! 前に進む意志を持ち続けることが出来たのならばッ!! 人は何処までも進めるッッ!!!」


紫闇はレックスが再びクリスとエリザから認められた頃に戻れると信じていた。


「世界はそんな風に出来ていないッ! 全ては運命によって決まっているッ!! どんなに足掻いても変えられないものが有るんですッ!!!」


両者共に引かない。

譲る気は全く無いのだ。

自分を力で押し通し、相手を捻じ曲げる。

そんな想いが原動力となって互いの望む結末を迎える為に今の彼等を動かしていた。

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