第十話
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怪我をした様子がないか」
「わかった!」
私はあの時の状況を思い出しながら、現場を歩きます。
最後にアルマさんを見たのは、怪我をしたゴルガスさんと一緒にテレポートされた時だから……。
あの時ゴルガスさんが斬り捨てた数匹のゴブリンの死体が転がる中、地面に重いものを引きずった跡を見つけました。
「エルマちゃん、これ」
「なんですか?」
あの時私がゴルガスさんを引きずった跡です。
「私が知る限り、アルマさんが最後に立っていたのはこの辺りなはずだけど」
「あたしが見たのも、たぶんそうです。勇者様に魔法を使って、すぐあたしにもしたから」
「じゃあ、この辺りを探そう。何か落ちているものはない?」
でも二人で探してみてもなにも見つかりません。
アルマさんの遺留品も、出血の跡も。
「たぶん……少なくともここを離れた時には怪我なんかはしてなかったんだと思う」
楽観的に。
「おねえちゃんはだいじょぶ?」
「うん、きっと大丈夫だよ」
「よかったぁ」
ゴルガスさんのアドバイスに従って、今は……ここまで。
「エルマちゃん、一旦戻ろう。見つけるのはまた今度」
「はーい」
でもアルマさんはどこに行ったんだろう?
再びエルマちゃんの魔法でテレポートして迷いの森の木の家まで戻ります。
家に戻るとゴルガスさんに報告です。
「そうか、アルマは見つからなかったか……」
「でも、アルマさんが最後に立っていた付近では戦闘の跡もなかったし、少なくともその時点までは無事だったと思うんですよね」
「ああ、俺も同意見だな。もしそうならアルマのことだ、逃げるなり守るなりの手は打てたはずだ」
ですよね。
ゴルガスさんと話してみて、少しだけ安心できました。
ゴルガスさんとマリアさんに見送られて、改めて出発です。
「じゃあ、王都までしゅっぱーつ!」
「おー!」
エルマちゃんがトコトコ歩き始めます。
「あれ?テレポートは?」
「わたし、王都はいったことないので、テレポートはできません」
て事はもしかして……。
再び徒歩の旅です。
人里離れて狩猟採取生活が続きます。
ベッドもなし、行水もなし、マリアさんのおいしいご飯もです。
ていうかマリアさん、旅の間どうやって料理してたんだろう?
私は焚き火を起こしてその火で食材を炙って焼くことしかできません。
味付けも塩味くらい。
「マリアさん、魔法が使えるとか……?」
ああ、おいしい料理が恋しい……。
「勇者様のご飯もおいしいですよ」
「ありがとう、エルマちゃん」
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