第九話
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が焚かれたような光とともに、エルマちゃんが現れました。
「あ、エルマちゃん!治癒魔術っていうのをお願いできる?」
「あ、はーい」
いつもの調子でエルマちゃんが魔法を使います。
やがて土気色をしていたゴルガスさんの顔色もよくなり、荒かった呼吸も安らかになってきます。
「ありがとうございます、エルマさん」
マリアさんはエルマちゃんに何度もお礼を言っています。
とりあえずは一安心でしょうか。
全然そんなことありませんでした。
あれからずいぶん時間がたったのに、アルマさんが帰ってきません。
「何かあったのでしょうか……」
マリアさんも心配そうです。
「エルマちゃん、アルマさんを最後に見たときって、どんな様子だったの?」
「私が盾の魔法を使ってたから、おね……ししょーがテレポートさせてくれて……」
盾の魔法。
あの時見た絶対的な防御魔法。
巨大なサイのような生き物も、ゴブリンの大群も押し留めてしまうほどの強力な魔法。
エルマちゃんが先にテレポートした場合、その効果はどうなるんだろう。
その場に残る?それとも消える?
消えるとしたら、アルマさんは……。
「わたし、ちょっと行ってくる!」
エルマちゃんが魔法を使おうとしたのを見てわたしは慌てて取り押さえます。
「なんで邪魔するの!?」
「向こう側の状況がわからないのに、今あそこには戻れないよ!」
「でもししょーが!おねえちゃんが!」
「アルマさんならきっと大丈夫だから……」
今の私にはそれだけしか言えませんでした。
なんとかエルマちゃんをなだめすかして落ち着かせた頃に、ゴルガスさんが意識を取り戻しました。
「ここは……あれからどうなった」
起き上がろうとして痛みに呻くゴルガスさんをマリアさんが押しとどめます。
「まだ動いてはいけませんよ。エルマ様の魔法で傷の治りは早まっているそうですが、まだ治った訳ではないそうですから」
私はあの場所で起こったことを説明します。
「そうか、そんなことが……。魔王の奴め……」
「魔王なんて信じなければよかった……」
「まあそうかもしれないが、そう落ち込むな。過ぎたことだ」
「でも、私が魔王を信じなければ……」
「それを言うなら最初に戸希乃《ときの》を信じなかった王様が一番悪いな」
ゴルガスさんは笑いながら言います。
こんなときによく笑える……。
「そんな顔をするなよ。世界が滅んだわけでもなし」
でも魔界との壁がなくなった今、魔王軍は人間界に出入り自由です。
だったらいずれは……。
「それで戸希乃《ときの》、それでお前はこ
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