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勇者戸希乃を信じてほしい
第九話
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んを降ろすと、アルマさんがゴルガスさんを調べ始めます。

 「出血、全身の打撲……骨折もあるようじゃな……とりあえず傷口だけ塞ぐ。そのあと勇者よ、おまえさんと一緒にテレポートさせるぞ」

「はい」

 アルマさんがゴルガスさんに魔法を使い始めると、出血がみるみるうちに止まっていきます。

「向こうにはマリア殿がおるから、ゴルガス殿の状況を伝えるんじゃ。エルマもすぐに送る。治癒魔法を使わせよ」

「はい」

「よし、傷はふさがったようじゃな。では……」

「まだ脱出してなかったのか」

 突然上から聞こえてきた声に振り仰ぐと、そこにいたのは魔王とそれを抱っこしたヴィルゴーストさんでした。

「魔王!これ、どういうことなの!?」

「どういうこと?なにがさ」

「断層の壁が消えちゃったじゃない!それに魔族を引きつけておくって!」

「……」

「答えなさいよ!」

「なあ、勇者よ」

「何!?」

「俺はさ……魔王なんだぜ?」

「!?」

「あとは言わなくたって、わかるだろ?」

「そんな……!」

「勇者殿!時間がない!飛ばすぞ!」

 アルマさんの叫び声に私は振り返ります。

「ちょっとま……」

 その瞬間、私とゴルガスさんは光に包まれ……そしてアルマさんの樹上の家にいました。

 背後で食器が落ちて割れる音に振り返ると、たぶんお茶の準備をしていたマリアさんが立っています。

「勇者様、ゴルガスさんはどうなさったんですか!?」

 私はアルマさんの言葉を思い出します。

「アルマさんが全身に打撲とあと骨折しているところもあるって……すぐにエルマちゃんもくるから、治癒魔法を使って貰えって……大きな動物みたいなのが現れて……私を助けるために……」

「わかりました」

 マリアさんはすぐにゴルガスさんの容態を調べ始めます。

「腕ですね。大丈夫ですよ」

 マリアさんは荷物から剣を取り出して抜くと、そばにあった棚を叩き壊します。

「マリアさん!?」

 マリアさんはさらに壊れた棚板を細く割ると、荷物の中から取り出した着替えを巻きます。

「勇者様、折れた腕を少し動かすので、ゴルガスさんを動かないようにしっかり押さえていてください!」

「は、はい!」

 私がゴルガスさんに覆いかぶさるようにして押さえると、マリアさんは骨折している腕に棚板を当てて、さらにもう一着の着替えで縛り上げて固定しました。

「はい、これでもう大丈夫ですよ」

「マリアさん、凄いです……」

「いえいえ、これでも5人の子供を育てたんですよ。それだけいたら大きな怪我をしたことも一度や二度ではありませんから」

 そこへフラッシュ
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