第九話
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その壁は……みるみるうちに、まさに霧が晴れるように薄まって消えていったのです。
「これは一体……?」
アルマさんがつぶやくように驚きの声をあげました。
消え去った壁を呆然と見上げる私たちの背後で奇妙に甲高い声が聞こえます。
それが聞こえた瞬間、ゴルガスさんは剣を抜いて振り返り一閃。
切り捨てられた何者かの死体が転がります。
「え?」
「ゴブリン共の襲撃だ!戸希乃《ときの》!剣を抜け!」
ゴルガスさんが叫びます。
振り返るとそこには今まで見たことのない数のゴブリンの群れが……暗闇の中から次々と現れてきました!
いえ、ゴブリンだけじゃありません。
今まで壁に遮られていた月明かりが差し込んで周囲がほの明るくなると、そこには無数の様々な大きさの見たこともない生き物がうごめいているのが見えます!
「な、なんで!?」
「詮索は後だ!とにかくこいつらを寄せ付けるな!」
ゴルガスさんが剣を振るたびに、ゴブリンたちは一人二人と倒れていきます。
私も必死で剣を振るけど押しとどめるので精一杯です。
「仕方ない、テレポートさせるぞ!時間を稼いでおくれ!まずはマリア殿、こっちへ!」
「はい、ではお先に行かせていただきます。お茶の準備をしておきますねー」
アルマさんが杖を振り上げ、30秒くらい念を込め振り降ろしてマリアさんを指すと、マリアさんは一瞬光に包まれ、次の瞬間には姿を消していました。
その間に私たちは剣を振り続け、エルマちゃんは杖を振って雷を放ち続けます。
「次は誰じゃ!?」
「戸希乃《ときの》、先に行け!」
え、でも!
その瞬間、闇の中から地響きとともに、サイのような巨大な四つ足の生き物が走り寄ってきました。
その生き物はまっすぐ私に向かって……。
「戸希乃《ときの》!」
ゴルガスさんが叫んだかと思ったら私を突き飛ばし、私は地面に転がります。
すごく痛いです!猛烈に抗議したいです!
起き上がってゴルガスさんを振り返ると……なんで?ゴルガスさんが地面に倒れています。
「エルマ!盾の魔法じゃ!」
「はいっ!ええいっ!」
エルマちゃんの魔法か、まるで見えない壁に押されるようにゴブリンたちとサイのような生き物は押し下げられていきます。
「勇者殿!ゴルガス殿を連れてくるんじゃ。エルマでもあの魔法は長くは続けられん!」
アルマさんもゴルガスさんに走り寄ります。
私もゴルガスさんのそばまで行って担ぎ上げようとして……ゴルガスさん、重すぎ!!
私が二、三歩よろよろとゴルガスさんを引きずって動かしている間に、アルマさんがやってきました。
アルマさんの前でゴルガスさ
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