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木の葉詰め合わせ
本編番外編
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此処ではない他の世界で・参
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ど、この振る舞い――こいつ絶対にドSだ、間違いない。

 何を思ったか、遊ぶ様に奴の手が首をなぞる。
 急所である部分へと触れられる――その感覚が心底気持ち悪くて眉根を顰めれば、どうやら相手の琴線に触れたらしく触れていた指先に力が込められた。

「いっつ……!」
「やはりお前はまだ自己治癒能力は持っていない様だな」

 軽く――いや、かなりの力が込められた相手の爪先が私の首を食い込む。
 微かに漂う鉄の匂いに相手の爪で肌を切られた事が分かった。
 乙女の柔肌(最も私が言えば世界中の本物の乙女達から大ブーイングが来そうだが)に何をしてくれやがる、このドの付く程の鬼畜野郎がぁ!!
 右手が不穏に動いて、隠し持っている毒付きの千本を今にも引き抜きたくなる。
 ……が、それをしたところで返り討ちに遭うのは必須だ。此処は我慢だ、私。

「――――奴も、この年頃の頃はこんなにも弱かったのか……?」

 不意に小さな声で目の前の男が囁く。
 揺らめく炎を映し込んだ様な赤い瞳は私を通して、別の誰かを見ている。それが分かって、空いた片手で頬に触れたままの男の手を振り払った。
 この男が誰なのかは知らないが、この世界の“千手柱間”と縁の深い誰かなのだろう。
 ――だけど、そんな事は私には関係ない。

「……誰だって、最初は弱いだろうが。そこから強くなるのか、そのままでいるのかは当人の努力次第だ。違うか?」
「…………間違ってはいないな。だからといって貴様が強くなれるのかは分からないが」
「大きなお世話だ。強くなるに決まってるだろ。守りたい者がいるんだから」

 戦国の世をどうしようだなんて事までは思わないが、私は私の大事な弟妹達を守れる様に強くなりたいとは願っている。
 ――――後、目の前のこの誘拐犯をボコボコにしてやることも目下の所の私の目標に付け加えられたのだが。

 首に手を当ててチャクラを流し込む。
 それからさっさと男に背を向けて、私は精をつけるために食事を摂る事としたのであった。

 ――――にしても、こんな面倒くさそうな相手に執着されているらしいなんて、この世界の“千手柱間”は結構大変だよなぁ。
 本当にお気の毒だわ、可哀想に。
 むしゃむしゃとご飯を口に運びながら、そんな事を考えた。

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