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戦闘携帯のラストリゾート
傷つくことより怖いこと
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のに。サフィールはシャトレーヌの代わりにわたしを捕まえる気だったのを知ってたのに。それを蔑ろにして安全な八百長を仕組んだキュービに怒ってる」
「だったらオレに構わず怪盗の仕事を全うすればいいだろ! オレは君に哀れんでもらいたくなんかない!」
「……やっぱり、素直に納得なんかできないわよね」
「当然だよ。オレはもうリゾートから帰る。八百長でもなんでも、好きにするがいいさ」

 わたしから目をそらしてベンチから立ち上がるサフィールの態度は、八百長を仕組まれたことに気づいて帰ると言ったわたしと全く同じに見えて。
 哀れみだと言われても、余計なお世話と思われても。どうしても放っておくことなんて出来ない。
 ほとんど無意識のうちに、わたしの手は彼の腕をつかんで引き留めていた。

「……離してくれ」
「お願い、聞いて。わたし、八百長なんかやらされるくらいなら怪盗の仕事なんかしたくないの。そもそもここに連れてこられたのだって詐欺みたいなものだし。スズにはもう話をつけたから。後はキュービに一泡吹かせたい」
「さっき協力してっていったよね? 言ってることが無茶苦茶……」
「誰も盗むのに協力してなんて言ってないわ。むしろその逆よ」

 サフィールにとって想定外の一言。怪盗が犯行を放棄するという本来あり得ない行為。

「あなたの望み通り、わたしを捕まえて。わたしに犯行は不可能だって誰から見てもわかるように協力してほしい。その代わりあなたの一番の目的。キュービと会わせるのを手伝ってあげる。真剣勝負ができないのは残念だけど……悪い話ではないでしょう?」

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