傷つくことより怖いこと
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ない。
だけど、今ここでその名前を呼ぶわけにはいかないし……ああもう!
「サフィール、ちょっと着いてきて!!」
「あれ!? なんで君が……いや、ええっ!?」
サフィールがタネマシンガンを食らったツツケラみたいな顔でわたしと、今まで喋っていた相手を見る。
わたしそっくりの誰かさんはとても腹立たしいことにサフィールの手を無理矢理引っ張っていくわたしに呑気に手を振っていた。
「スズ、ちゃんと説明してもらうからね!」
【いやはや、何のことでしょうね? きっとあなたのファンによるコスプレじゃないでしょうか】
「一番説明して欲しいのはオレなんだけど!? どっちが本物なの!?」
無理矢理フードコートから引っ張り出して比較的人気の少ないベンチに座る。あのときと似てるけど、今は混乱してるのはサフィールの方だ。
「どういうこと? なんでラディが二人……メタモンの変身にしたってどっちもちゃんと喋ってるし……!」
「サフィール、さっき一緒にいた女の子、わたしより随分明るくなかった?」
「う、うん。初対面の時よりテンションが高かったけど無事予選を突破したからって言ってたし、そういうものかなって」
サフィールに得意顔で怪盗について語っていたのは間違いなくクルルクに違いない。
姿に限らず、手持ちのアシレーヌの力を借りて声まで模倣することができるからクルルクにあったことのないサフィールが見破れるわけがない。わたしとだって一回しか会ってないし。
「彼に変なこと言われなかった? 勝手にわたしの恥ずかしい思い出とか話してない?」
「彼!? じゃああれは男だっていうの! いくら何でも嘘でしょ? はっ、まさか君こそ偽物でシャトレーヌの誰かがオレを騙そうとし手首が曲がるうううううう!!」
気持ちはわかるとはいえ、落ち着いて欲しい。そう思った矢先、いつの間にか彼の背後に現れたサーナイトの念力がサフィールに悲鳴をあげさせた。もんどり打ってベンチを転がるサフィール。
ただ、その動きは。今のわたしにはどこかわざとらしい。
「本物はわたしよ。ルビアに捕まって脱出してきた。彼女から事情を聞いて、護神とも話をしたから。あなたがわたしを捕まえてどうしたいのか。もう知ってる」
「姉さんに、護神まで……!」
おどけたサフィールの表情が一瞬で強ばる。
ルビアから聞いた、彼がわたしを捕まえる動機。それはわたしの生殺与奪を握ること。もし怪盗乱麻がホウエンの人間に殺されるようなことがあればリゾートに招いたキュービの責任になる。それを利用して自分の姉であるはずのキュービと直接対話するのが目的。
彼はわたしを脅すつもりがあるとは思えない。
あのとき混乱するわたしの手を引いて、お互いの話をした時のサフィールからは、わたし
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