艦娘とスイーツと提督と・60
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『あ〜、了解です。直ぐに向かいます』
「うわ、こりゃまた派手にやりましたねぇ」
「前にナイフ持ち込まれて家具やら書類やらズタズタにされたよりはマシだろ」
時たまあるんだよな、ストレスが溜まりすぎて依存してる対象と引き剥がそうとした俺がそのストレスの捌け口になる事が。
「そりゃそうですけど……ホント怪我しないように気を付けて下さいよ?」
「わーかってるって、俺が怪我して入院なんぞしてみろ。嫁艦共が発狂しかねんぞ」
「解ってるならいいんですけど……で、筑摩さんへの対処は?」
「出来る限りカウンセリングとセラピーの方向で。多少の薬物の使用も許可する」
「解体はするな、ですか。相変わらずお優しい事で」
「馬鹿言え、また筑摩を建造して一から育てる手間と金を惜しんでるだけだ。ただでさえ航巡は数が居なくて貴重なんだぞ?」
「あはは、そういう事にしておきます」
担架に乗せられて筑摩が運ばれていく。それを見送りながらつくづく思う。戦争って奴はマトモな精神の奴から壊れていく。それを耐え抜いて平然としてるのは、元から壊れてる奴かよっぽどの悪党ばかり。それでも『恒久的平和』なんて物は幻想で、出来るのは数十年の平穏な繁栄の時代。だが、息子や孫位にはその平和を享受させてやれるだろうと今の時代を生きる戦争屋は死力を尽くしている訳だが。
「兎角この世は悪党揃い、死ねば仲良く地獄行き。やれやれ、出来る事なら向こうでまで喧嘩は願い下げだぁな」
「まぁ……それなりにこの世は地獄の様でも、その中で楽しみを見つけてやるしか無いんじゃないですか?」
苦笑いを浮かべる明石。こいつとも長年連れ添って来てるからな、金剛よりも付き合いが長いせいか、男女の仲というより気の置けない悪友に近い感覚がある。
「あ、勿論私の楽しみは提督とのイチャイチャですからね!?」
どうやら向こうは未だに男女の関係性だと思ってるらしいや。
「世知辛いねぇ……」
俺は煙草を1本取り出し、火を点けて深く、深く吸い込んだ。
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