暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・60
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
をず〜っと出来る。win-winの関係性だと思いません?」

 ヤベェ、筑摩のシスコンが思ったより重症だった。病む一歩手前ってか、既に病んでねぇかなコレ。だって利根をペット扱いする事についてのメリットを嬉々として語りながら顔がうっとりしちゃってるもの。想像だけで恍惚の表情浮かべちゃってるもの。

「いや、間違いなく悪影響があるだろうに。第一、遠征先とかで筑摩が居ない状況下になったらどうすんだよ」

「えっ?」

 筑摩はキョトンとした顔をしている。『何故そんな事になるのか解らない』といった表情だ。

「いや、『えっ?』じゃないが」

「そこは提督が常に私と姉さんを同じ艦隊に編成してくれれば万事解決じゃないですか」

 何を当たり前な事を、と筑摩は語る。だがそれは許されない。俺達ゃ軍隊、仲良しこよしのお友達グループではなく、指令が下れば犬猿の仲の相手だろうと手を携えて敵をぶっ殺す戦争屋だ。

「悪いがそれは出来んな、編成の都合って物がある」

「何故ですか!」

「仕事だからだよ、筑摩。仕事に私情を挟むな……軍人どころか仕事をする人間として当然の事だぞ」

 好き嫌いで仕事と親は選べない、ってのは俺の知り合いの大企業の社長の言葉だったか。まぁ、仕事に関してはある程度選択の自由はあるだろうがその細かな内容までは選べないってのが実情だろうが。

「それとも何か?俺は艦娘の感情には寛容な方だが……あまり反抗的な部下には最終手段を取らざるを得ないが?」

 最終手段……つまりは艦娘としての能力を『解体』して奪い、鎮守府から監視付で放逐する事だ。そうなれば当然愛しの『姉さん』の側には居られなくなる。

「そんな事は……させませんっ!」

 瞬間、テーブルを挟んで座っていた俺に筑摩が掴み掛かってくる。だがこんなのは想定内……馴れてるちゃあ馴れてるからな、俺。わざと襟を掴ませ、上にのし掛かって来ようとした瞬間に筑摩の腹部に足を滑り込ませて蹴り上げる。半ば巴投げの様な形になってソファの背の向こうに筑摩が落ちるが、その程度で気絶する程ヤワな鍛え方はしていない。尚も俺を引き倒そうとする筑摩を文字通りの寝技で抑え込み、首を腕でガッチリホールド。ロックを外そうともがく筑摩だが、機関部コアを付けてなければ精々鍛え上げた女性軍人よりも多少力が強い程度。そんな手合いに負ける様な鍛え方はしてないんでな、俺も。やがて脳に酸素が行き渡らなくなり、抵抗する力も弱くなり……筑摩はぐったりとして動かなくなった。一応脈を確かめるが、死んではいない。

「はぁ……やれやれ」

 筑摩が気絶している事を確かめ、執務室の内線の受話器を取る。

『はいはい、こちら工廠。明石ですが?』

「明石、要対処案件『ヤ』号発生だ。引き取りを頼む」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ