越冬のダイヤモンド
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ミッドチルダ北部 地下水路
避難所を見てるからわかっちゃいたけど、水路はあちこち老朽化していた。壁に強い衝撃を与えたら水が入ってきて崩壊するかもしれないから、気を付けて行こう。
「ん、戦闘はできるだけ回避?」
「ここを制圧しに来たんじゃないからね。目的地はもっと先で、二人しかいないんだから力は温存していこう」
ただ、真っ暗な通路に赤い非常灯のみがポツポツと点いて、ぼんやりとしか見えない暗闇になっているのは、無駄にホラー仕様だった。フィクションでも怖い演出だったそれが現実になると、ここまで背筋がゾッとするものなのね……。
『暗がりに紛れてアンデッドがゆっくり……ゆっく〜り近づいて……』
やめて、イクス。それ怖いから。
とはいえ、ここにいる敵は想定以上に少ない……というか少な過ぎた。いるのはスライムが基本だがチラホラ見かける程度、マミー、グールは隅々まで探せばようやく一体見つかる程度という……。他の奴はどこかに移動したのかな? 移動したのならどこへ?
どことなく不安要素は漂うが、今回はスルーすれば全く戦わなくていいので、時間も考慮してここは突っ走ることに専念した。という訳で現在、水道管に沿って薄暗いが直線だけの通路を体力の都合も考えてそこそこの速度をキープして走り、気付けば大体2時間ぐらい経った。
『時速50q付近で走るペースを2時間維持できる辺り、シャロンの体力……あと肺活量って本当にすごいですね。アスリートかマラソンランナーになれば殿堂入りするんじゃないですか?』
「これはイクスの強化魔法込みだから、アスリートの人から見ればドーピングしてるようなものでしょ。素だけで走ったら時速20qに届くかってぐらいだし」
『20? いや、あなた普通に30は超えてるんですが……』
「ところで、20と30って数字は女性にとって妙に存在感があるよね」
『今は歳の話はしてませんよ。というかそれ言い始めたら私はどうなるんですか?』
「永遠の15歳?」
『私は聖剣使いではありませんけど見た目より年齢若干盛ってくれたんですねありがとうございます。とにかく話を戻して……強化魔法を使っても体力は変わらないので、ペースが落ちないのはシャロン自身の力ですよ』
「まあ……ありがと」
「ん、ずっと気になってたんだが、シャロンは昔から体を鍛えてたのか? その体力もだが、戦士でもスポーツ選手でも無いのに身体能力が常人よりはるかに高い。流石に何もしていないってことは考えられないが……」
「一応、アクーナにいた頃から何も特別なことはしていないはず。アクーナだと一抱えほどあるサイズの墓石を持ち上げては細かい場所を丁寧に掃除したり、人間サイズの水瓶を毎日10個以上、一里の距離をこぼさないように往復で運ん
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