第12話 動き出す世界と陰謀
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「ゾル大佐……!全くですよ、できることなら2度と彼女らと関わりたくないですね。どうも苦手なタイプのようです」
千堂はボーゼスにぶたれたことを思い出したくないようだった。
そこから少し、2人の間を沈黙が包み込む。
そして先に口を開いたのはゾル大佐の方だった。
「千堂、貴様があの女騎士共を捕縛している間に上層部でこの世界のミラーワールドへの植民が決まった」
ゾル大佐の言葉に千堂は驚く。ミラーワールドへの植民は帝国を制圧した後で行うものと思っていたからだ。
「思ったより早いですね。帝国戦を終わらせてからと思っていたのですが…」
ゾル大佐はため息混じりに答える。
「ハァ、突然、政府上層部の中で日本を制圧して人口問題を解決しようとする勢力…対日強硬派が台頭してきてな……。奴らは人口問題解決の為と大口を叩いてはいるが実際は反ショッカー報道を続ける日本を倒したいだけだ」
前回の世界統治委員会の後、対日強硬派の意見の非現実さに困り果てた死神博士はショッカー大首領に謁見し、意見を求めた。そこでショッカー大首領は植民しても比較的、影響がないと思われるミラーワールドに植民するように命令したのだ。これなら人口問題解決に一歩近づく上に対日強硬派が暴走することを防ぐことができる。
それに誰もが心酔する大首領からの命令なら対日強硬派も多少の不満はあっても聞き入れるだろうと思われた。事実、対日強硬派はミラーワールドへの植民を快諾した。
しかし、そもそも世界統治委員会の存在すら知らない千堂には疑問しか湧かなかった。
「そんな現実の見えていない派閥の主張なんか無視すればいいでしょう?」
「それが無視もできないのだ。軍上層部の一部が自身の出世の為に先制攻撃を仕掛けたがっているからな。少数とはいえ、それなりの影響力はある」
ゾル大佐は葉巻の煙を吐き出しながら答える。
「しかし……対日強硬派の殆どは人口問題解決を急いで解決したい奴らばかりだ。はやまった連中を1人でも減らす為にガス抜きの意味も込めて異世界のミラーワールドだけでも植民をするのが決定したんだそうだ」
何とも言えない空気が流れる。
暫くの沈黙の後、千堂がボソリとつぶやいた。
「それで収まればいいですがね……」
千堂はこれからの未来のことを憂うことしかできなかった。
日本世界 アメリカ合衆国 ホワイトハウス
大統領 デュレルは大統領執務室の卓上に載せられた数枚の資料に目を通す。
その資料はCIAから送られたものであり、題名は『我が国とショッカーとの国交開設及び利益独占に関する報告』。
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