第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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は、『剣身のない柄』と、掌大の玉鋼だった。
鍔から先にあるはずの刀身がない。彼らは一体何をする気だ?
分からない。だが、このまま手をこまねいているだけでは打開できぬのも事実、ここは彼らの行動を見届けるとしよう。
――――――鍛錬を開始する!!――――――
それは、この状況を打破する文言にして、これから刀身亡き鍔の刃を生み出すための呪文。
両者の大地に広がる、暁にも似た黄金色の紋様。東洋の国ヤーファ、その地方里ホムラに伝わる『伝説の鍛冶場』を模した工房が目の前に具現化する。
中でもひときわ目を引いたのは、刀匠と弟子が見つめる『黒い火球』だ。
「何なんだ……あれは?」
突如現れた火球に、フィグネリア、ティッタ、ヴァレンティナは目を奪われた
セシリーには何度も目にした光景と、ティッタ達には初めて目にする光景だった。
そう、初めて見る者には何のための物体だか分からないと思うだろう。
少しでも気を緩めば、こちらが吸い込まれそうになるほどの引力を持つ火球。その火球にルークは刀身のない柄を手に――
「――いったい何を!?」
ティッタ、フィーネ、ティナ、果たして誰が発したのだろうか。
腕ごとそれをドス黒い火球へぶち込んだ。波一つたてぬ水面へ挿入するかのように、ルークの腕までの見込み、次いで玉鋼を放り込む。
ルークは一心不乱に何かを呟き始める。
「小割――選別――積み重ね――鍛錬――折り返し――折り返し――折り返し――折り返し――折り返し――心鉄成形――皮鉄成形――造り込み――素延べ――鋒造り――火造り――荒仕上げ――」
ジスタート語とも、ブリューヌ語でもない呪文の羅列。だが、幼子のときに聞いた、かすかな記憶の片隅におぼろげながら覚えている。若き時代のヴィッサリオンから教えてもらった『あの』工程だ。
ヴァレンティナは隣のセシリーにそれとなく聞いてみた。
「セシリーさん、もしかしてあれは……ルークはまさか――」
「すまないが、その話はあとだ」
ルークが割り込んできた。
「説明するぞ、お前たち。この刀は俺の鍛錬経験をなぞることで生成される。俺が過去に打った刀をそのまま再現する仕組みだ。再現できる回数は一本につき一度だけ。材料には高純度の玉鋼を要する。そしてこの方法で鍛錬された刀は多量の霊体を含み、様々な効果が付加される。今回は『風』をこの刀に加えるというようにな」
彼女たちの視線にリサがうなずく。
「この鍛錬の再現術が、私の悪魔としての能力です。あの火球はルークの過去や経験をなぞり、簡易的な炉の働きをする役割を持っています」
矢継ぎ早に放たれる説明に、ティッタ達は混乱
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