第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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冷静に分析する。魔物に悟られぬよう、思考を影に落としながら、確実に。
(ガイはこの不利な状況でよく戦っていますが、いずれ追い込まれるのは目に見えています。あの枝につるされている赤子さえ何とか救えれば……)
そこで、彼女には一つの考えが浮かんだ。しかし、それを実行するにはあることを覚悟しなければならない。
――チャンスはたった一度きり――
そう、失敗は許されない。
もし、標的がそらされて凱の集中を乱すならば、取り返しがつかなくなってしまう。
かすかな希望と見るに余る絶望。
その考えを見透かしたかのように、フィグネリアがヴァレンティナに語り掛ける。
「私たちのことなら気にするな」
「フィグネリアさんの言う通りです。ヴァレンティナ様。あたしたちに何かできることがあれば、遠慮なくいってください」
「ティッタ……フィグネリア……あなた達は」
突然の申し出にヴァレンティナは目を開かせた。
「ええと……私たちもいます!ヴァレンティナさんですよね!?何か考えがあるのなら――それに賭けるべきなんです!」
「ガイならきっとそう言い飛ばすはずだ!さっさと言いやがれ!」
リサがたまらず言ったかと思えば、ルークが煽るようにまくしたてる。
「――――せめて武器を」
つぶやくように提案するヴァレンティナ。続く言葉は強く語られる。
「ガイの力に耐えうる武器さえあれば――」
となれば、自分の竜具エザンディスをそのまま凱に明け渡すべきか?
いや、駄目だとすぐに思考を切り替える。
今の凱が、同系統の竜具アリファールを使えるのは見てわかるが、エザンディスを使えるかどうかわからない。その選定基準があいまいである以上、下手に渡せば足枷になるかもしれない。
ならば、竜具ではなく別の武器を使うべきだ。
ダントツの魔剣所有率を誇るここ独立交易自由都市ならば、何かあるはずだ。
贅沢は言わない。竜具のような性能を求めるわけにはいかない。せめて、凱の一撃だけでも耐えうるものがあれば。
問題はそれだけではない。赤子のコーネリアスを人質に取られている。いかにして魔物の注意をそらして救出するか。
どちらも無視できぬ事項であり、どちらも達成するためには時間を有するのも事実。
それも、戦況を見る限りではそのような時間など多くない。
どうすれば――そう思案するヴァレンティナを脇に、刀匠と弟子の二人が既に行動を起こしていた。
「仕方ない!リサ!玉鋼と柄を出せ!」
「はい!ルーク」
「『久しぶり』だが、やれるな!」
「もちろんです!!」
久しぶり……とは思えぬ仕草。まるで――いつもやっている――ようなやり取りで。
リサが小物入れから出したの
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