第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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つまりセシリーの旦那であり、リサの師匠である彼はティッタ達の動向を許した。
独立交易自由都市側のルークからすれば、得体のしれない彼女たちであったが、獅子王凱の知り合い以上であれば、信用するに十分だった。なぜなら、凱という熱血漢でお人よしをフォローする人間に悪い奴は少なくともいない。困っている人なら老若男女問わず助け、誰もが憧れる『浮気者』だ。獅子王凱という男は。
「エザンディスさえ使えればよかったのですが、今は仕方ありませんね」
わざと聞こえるような声量でルークに愚痴をこぼすヴァレンティナの気持ちも、まあ分からなくもない。
空間転移できる竜技なら、一瞬で凱の交戦地区へ移動できるはずだ。しかし、今は非常事態発令中。独立交易自由都市全体で祈祷契約なる神の奇跡がかけられている。『見えざる脅威』という超常の力を封じこめて地区全体の被害を丸め込む都市封鎖のやり方だ。
だが、そのために別の問題が発生した。
魔物討伐。事態の収拾を迅速に納めるためにはヴァレンティナの竜技が必要不可欠。もし、これが使えれば、迅速かつ最小に被害を抑制できたはずなのだ。
でも今は使えない。
自由を謳う貿易都市は、緊急事態宣告の鎖に絡まれて、その活力を封じられていた。
逆に言えば、そのおかげで魔物の力を抑制できているともいえよう――――そう、本来ならば。
『何かしら』の対策で既に魔物は変身を遂げてしまった。でも、彼らルーク達はまだそれを知らない。
「まさかお前たち生娘が、ガイの縁者だったとはな」
「それはこっちの台詞だ。私たちもお前のような男がガイと知り合いなのだむしろ驚く」
憎まれ口に叩きあい。両者の初対面はなんというか、喧嘩腰だった。事態が事態なだけに仕方のないことなのだが、利害一致なので同行しているような感じだ。
ティッタは、神社の石階段を登り、境内へ向かった。
「待つのです!ティッタ!それ以上進んでは――」
さらに一足、ティッタを追うヴァレンティナ。二人がちょうど境内に入った時、ちょうど凱とヴォジャノーイが死合おうとしている真っ最中だった。
「……あれは!?」
魔物としての本来の姿を披露したヴォジャノーイを見て、ヴァレンティナはとある秘密に気づいた。
(まさか――独立交易自由都市の祈祷契約を無効化するために、あの『鎖』を利用するなんて)
忘れようもない。あれは戦姫を――竜を地に這わせるために作られたあの鎖には覚えがある。
「ガイ!気を付けて下さい!あの魔物が身体に巻いている鎖は竜具の力を奪うものです!」
荒い息をあげながら、ヴァレンティナは叫んだ。
(そうか……だからアリファールの一撃が和らいでしまったのか)
同時に、次々と荒い息をあげながら姿を見せる面々
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