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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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もしていない)

背後から伝わる、今だ強い魔物の殺気を感じながら、凱はわずかに驚いた。

確かに倒したと思ったのだが、魔物の耐久力は、勇者の想定を上回るものだった。

「ここからが……ボクの本気だ!!アルサスでの二の舞にはならないよ!」

魔物の持つ気質が……いや、存在が変わったというべきか。

今までの陽気な殺気とは明らかに違う――明確な殺気へと転移(フェイズシフト)する!

魔物ヴォジャノーイは背中を丸めると、全身から「ぶしゅー」と粉末状の霧を放出した。おそらく、ファイナルフュージョン過程のガイガーがEMトルネード(電磁竜巻)を放出し、組替中の無防備状態の機体を外敵から保護するのと同じように、あの魔物も強固な紫色の霧をらせん状にまとって、その身を保護しているのだろう。そうであれば、折れたままのアリファールでは魔物に損傷を与えることは不可能である。

にゅるり――何か舌らしきものが、紫の霧から這い出てきた。

「……………!?」

悲願達成のために魔物が人間社会に溶け込み、人間の姿を取ることは珍しい事ではない。現に機械文明の先兵である機械四天王が、素体となるべきターゲットに近づくべく、仮初の人の姿をとっていたのだ。そうやって人の心につけこみ、ストレスをエネルギーへ変換する『ゾンダーメタル』を人間にとりつかせ、魔物化させていた。

しかし、あの時「ティル=ナ=ファ」が語った魔物の本来の意義「世界をつくりかえる」こと――この世界の『遺物』から『純正物』に成り代わろうとするため。

人の世では異物――魔の時代では純正になるだろう、ヴォジャノーイの真の姿が再び凱の前で披露された。

「七戦鬼――妖蛙ヴォジャノーイ……ここからが本番だ!」

三度、ヴォジャノーイの攻撃が繰り出されようとしていた。










【独立交易自由都市・ブレア火山麓】










その頃――リサ達は――

「こっちだ!急げ!リサ」
「はい!ルーク!」

独立交易自由都市の全域で発令された魔物討伐冷。その捜索に当たっていた拠点防衛騎士団の一人から、有力な情報がもたらされた。

ブレア火山の麓、護神刀奉納神社にて、何者かが魔物と交戦中。

「ティッタさん!頑張ってください!もうすぐです!」
「あたしなら大丈夫!リサちゃん!このままガイさんのいるところへ!」
「一直線ですね!分かってます!」

自分よりも小柄な少女、リサの激励を受けてティッタは切れかかった息をどうにか繋げなおす。
馬の蹄ではとても走れぬ茨道なもので、結局自分たちの足で走り続けるしかなかった。この魔物の情報を掴んだ両者は、偶然にもお互いが出くわした。ハンニバル=クエイサーから事情を聞いたルーク、
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