第十九章
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「俺のこのセンスは揺るぎないものだ」
「揺るぎなく悪いですね」
「どうかしてますよ」
「もう大人しく今のお菓子食べて下さい」
「そうして下さいね」
「ケーキは今度注文するとしよう」
やはりめげていない氷室だった、そうして。
今あるお菓子と飲みものを楽しむ、それは内海も同じだったが。
今食べているドーナツと先に食べた桃饅頭についてこんなことを言っていた。
「完璧ですね」
「かなり美味しいですね」
ツクヨミが内海に応えた。
「本当に」
「はい、この味になるまでに」
まさにというのだ。
「どれだけの研究があったか」
「美味しいものを生み出す」
「そのことを思えば」
こう言うのだった。
「私もです」
「食べずにいられないですか」
「はい」
まさにというのだ。
「これは」
「そうですね、ただ」
「何でしょうか」
「内海さんが一番召し上がられていて」
それでというのだ。
「止まらないですね」
「私は食べることが大好きなので」
内海はツクヨミに眉一つ動かすことなく冷静に答えた。
「ですから」
「今もですか」
「こうしてです」
その様にというのだ。
「召し上がっています」
「そうですか」
「実はこの人物凄い大食漢なのよ」
これまで沈黙を守っていた美空がバームクーヘンを食べつつ言ってきた。
「もうあればね」
「それだけですか」
「食べる位で、しかも自分の目標だけ食べられなかったら」
その時はというと。
「悔しがるから」
「厄介な人ですか」
「そこが問題なのよ」
どうしてもというのだ。
「この人は」
「そうですか」
「そう、そして」
それでというのだ。
「今も食べているのよ」
「これだけ」
「あとコーヒー淹れたから」
石動も言ってきた。
「皆飲んでね」
「あっ、では」
「俺の店の特性コーヒーだから」
それでとだ、彼は言った。
「よかったら飲んでね」
「キッチン借りたの」
「常磐君の叔父さんからな」
石動は娘に笑顔で答えた。
「貸してもらってな」
「コーヒーを淹れて」
そしてというのだ。
「今なのね」
「飲んでくれるか」
「それじゃあね」
是非にとだ、美空は父に応えた。
「一杯飲ませてもらうわ」
「何杯でもいいけれどな」
「いや、コーヒーを何杯も飲んだら」
「寝られなくなるか」
「だからいいわ」
こう父に返した。
「それはね」
「そうか、まあ皆飲んでくれよ」
「じゃあ一杯」
常磐は石動に応えてだ、そしてだった。
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