暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第30話:三つ巴の争奪戦・その2
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
考が停止してしまった。

 その隙を見逃すような弦十郎ではない。
 彼は狭い機内と言う場にあって見事な体捌きでヒュドラの懐に入り込むと、剣を持つ手に手刀を振り下ろした。その一撃はヒュドラの手から剣を容易に手放させ、奪い取った剣はそのまま機外に放り捨ててしまった。

「て、テメェッ!? くっ!?」
「遅いッ!!」

 まさかの展開に、距離を詰められたままは不味いと判断し弦十郎から離れようとするヒュドラだが、弦十郎が更に踏み込むほうが早かった。踏み込みと同時に背中で放つ体当たり『鉄山靠』を仕掛けると、喰らったヒュドラは凄まじい衝撃を受け機内の壁に叩き付けられた。

「ごはっ?!」

 ヒュドラが機内の壁に叩き付けられた衝撃と、弦十郎が踏み込んだ際の力でヘリが大きく揺れた。だが弦十郎は微塵もバランスを崩す様子は無く、しかしそれでいてヘリのパイロットには機体を安定させるよう苦言を口にした。

「おい、東野村(とのむら)! もうちょっと静かに飛ばせないのか?」
「無茶言わんでください!? 空に居るノイズにだって気を付けなきゃいけないのに、おわっ!?」

 言いながらも突撃してきたフライトノイズをギリギリのところで回避したパイロットの東野村 裕司(ゆうじ)。尚も激しく機動を続けるヘリに弦十郎が肩を竦めている前で、ヒュドラは困惑しながら体勢を立て直した。

 言うまでもない事だが、変身している魔法使いは並大抵の攻撃ではビクともしない。通常兵器で言えばライフル程度なら余裕で耐えられるだけの防御力を誇っていた。
 にも拘らず、弦十郎の一撃は体の芯まで響く威力を持っている。その事実にヒュドラは体勢を立て直しながら、信じられないと言った目を向けた。

「お前、一体何者だッ!?」
「事前に調べておかなかったのか? 俺は特異災害対策機動部二課の司令官、風鳴 弦十郎だ!」
「そう言う事じゃねぇッ!? クソッ!」

 ふざけているとしか思えない弦十郎の様子に、半ばヤケクソになりながら突撃するヒュドラを弦十郎は油断なく見据える。

「オラオラオラッ!!」

 剣を失った事で左手のスクラッチネイルを主体とした格闘戦で対抗するヒュドラだったが、その攻撃は悉くが弦十郎に受け止められ、受け流され、挙句の果てには反撃を喰らい自分がダメージを受けていた。

「ぐ、おぉ――?!」
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
「うっ!?」

 予想していた以上のダメージに、思わず動きを止めるヒュドラに弦十郎の正拳突きが放たれる。
 喰らったら絶対ヤバいと回避したかったヒュドラだが、狭いヘリの内部ではそれも叶わず止む無く防ごうとした。

 果たして、弦十郎の一撃はヒュドラの防御をぶち抜いて彼にダメージを負わせた。

「はぁぁっ!!」
「が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ