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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
夏の1ページ(通算100話記念)
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「後はこれを加えて……出来た!」

隠し味を加え、料理が完成すると同時に玄関が開いた音が響く。

帰ってきた恋人を、響は満面の笑顔で彼を出迎えた。

「ただいま。おっ! この匂いは……」
「おかえり、翔くん! うん、今日はカレーだよっ!」

黄色いヒヨコの絵がプリントされたオレンジ色のエプロンを着けた響。
翔はいつものように、出迎えてくれた響を抱き締めた。

「そうか……楽しみだな」
「腕に海苔をかけて作ったから、楽しみにしてね
「それを言うなら『より』だぞ」
「あれ? ……違ったっけ?」

響の食いしん坊な間違いに、翔がクスッと笑う。
手洗い、うがいを済ませると、翔はキッチンへと向かった。

「響が作ってくれたんだし、食器は俺が並べようかな……」
「大丈夫。今日はわたしがやるから、翔くんは座ってて〜」
「そうか……。なら、その言葉に甘えるとしよう」

翔が食卓に着くと、響は完成した料理を盛り付けた皿を並べた。

「お待たせっ! 立花響特製カレーライスの完成だよ!」
「おっ、これは美味そうだ! 早速戴こう」
「あっ、ちょっと待って!」

手を合わせた翔を、響が慌てて止める。

「ん?トッピングがあるのか?」
「えへへ……はい、アーン」

響は自身の皿からカレーを1口よそうと、翔の口に近付けた。

翔「ッ!?」

恋人からのサプライズに驚くも、求められて答えないような甲斐性なしでは無い。

翔は口を開け、響の期待に応えた。

「あー……んむ……」
「どう……かな?」
「程よい辛さと、それでいてまろやかな味……ああ、凄く美味しいよ、響」
「やった! これはね〜、立花家秘伝の味を私が自分でアレンジしたんだよっ! お父さんと一緒に作ったの思い出しちゃった」

幼い頃、父である洸と作ったカレーを思い出す響。
その顔は、以前に比べて明るく、晴れ晴れとしていた。

「わたし、お父さんの方のカレー食べたら、あまりの辛さに泣いた事もあったなぁ」
「美味しそうだったからか?」
「うん。エヘヘ……そうなんだ〜」
「そうか……。響、ほら」
「へ?」
「あーんだ」

先程のお返しとばかりに、響にあーんをする翔。

響は恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、喜んで大口を開けた。

響「あむっ……うん! 美味しい!」

満面の笑みを見せる響に、翔も自然と笑顔を返す。

(いつ見ても可愛いな、響は! おかげでカレーが自然と進む……!)

「しかし、本当に美味いな。何杯でもおかわりしたいくらいだ」
「いっぱいあるから、たくさんお代わりしてね〜。よーしッ!わたしも食べちゃうよ〜っ!」

これは、とある夏の一日。同じ屋根の下に暮らす恋人達の、ありふれた日常の
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