第14節「秋桜祭」
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……思ってたんだけどな……)
響の脳裏に先日の装者達と、新生したフィーネを名乗ったマリアの姿がちらつく。
正義では守れないものを守る。そう宣言した調と切歌。
分かり合えたと思っていたのに、敵対するフィーネ。
響の中で、迷いが渦を巻いていた。
「自販機のお茶にでもしておくべきだろうか……。響はどっちがいい?」
「え? あ、ああ、うんッ! お茶にしよう、お茶ッ! わたしお茶大好き〜なんちゃって」
「……響、さてはあの装者達の事で悩んでるな?」
「ッ!?」
心の中を見透かされた気がして、響は肩を跳ね上げた。
「わかるさ。響はすぐに顔に出るからな」
「翔くん……。師匠にはああ言ったけど、わたし……」
「どうすればいいか分からない……そうだな?」
「うん……。何が正しくて、わたしに何ができるのか……分からないよ……」
俯く響。翔は響の頭にそっと手を置くと、優しく撫でた。
「俺だって分からない。あいつらが何を背負っているのか、フィーネが何を考えているのか。姉さんのライブを滅茶苦茶にした事は事実だけど、なんであんな真似したのか……俺はまだ、あいつらから聞けていないからな」
「翔くん……」
「けどな。フレーズも浮かんでないのに弦を弾いても、綺麗な曲にはならないんだ。だから悩むのは、一旦後回しにして……今は一緒に楽しもう。悩みながら食べるたこ焼きが、美味しいと思うか?」
「ううん、きっと美味しさも半分になっちゃう」
「だろ?」
翔の一言に、響は顔を上げる。
思っていた通りの答えに、翔は満足げに笑った。
「よし! そうと決まれば、まずは飯だ。おばあちゃんが言っていた……“食べるという字は”――」
「“人が良くなると書く”……だったよね?」
「正解! ほら、並ぶぞ! 折角だ、隣の店の焼きそばとアメリカンドッグも買って行こう!」
「だったらわたし、クレープとフルーツ飴とベビーカステラも食べたい!」
「おいおい、時間までに全部食い切れるのか!?」
「えへへ〜、へいき、へっちゃらだよッ!」
翔は響の手を引いて、たこ焼き屋へと並ぶ。
(やっぱり翔くんは、わたしのヒーローだなぁ……)
翔の横顔を見つめながら、響は心の中でそう呟くのだった。
ff
一方その頃、未来と恭一郎もまた、校内を歩き回っていた。
しかし、こちらは他の二組とは違い、あまりいい雰囲気だとは言えない様子である。
「C組のピ○ゴラ装置、すごくクオリティー高かったね〜」
「うん……」
「まさか、あれを作る為だけに半年分も○ックのバリューセットを買い続けるなんて、よく思いついたよね。しかも教室を丸々使って作るなんて……」
「うん……」
「……小日向さん?」
「うん……」
先程から、心こ
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