暁 〜小説投稿サイト〜
pinkdevilと鰐、彼女
迷い混んでしまった
[2/2]

[9] 最初
さ、正直、二つ、食べたくらいでお腹が満たされるとは思えない。
 屋台の親父は、じろじろとぶしつけなまでの視線で、サービスしてやってもいいんだねと言ってきた。
 (サービスって)
 その言葉と視線に女は内心、むむっとなった、子供ではないのだ、駄目だ大事な金貨、所持金はこれだけなのだ、無駄遣いはできない、諦めようと思ったとき。
 「オヤジ、いい商売してるじゃねえか」
 横から声がした。
 「代わりに俺がしてやってもいいんだぜ、サービスというやつをな」
 店主の顔色が真っ白になった。

 「あ、あのいいんですか」
 袋一杯に入ったパンをくれたのは、顔に傷のある、手にはかぎ爪のある男だ。
 「代金を払います、足りないかもしれませんが」
 取り出した金貨を渡そうとするけど、男は首を降って、受け取ろうとはしない。
 「気にするな、サービスだ、なあ、オヤジ」
 こくこくと店主は頷くが、その顔に表情というものはない、一瞬、気の毒と思ったが、サービスなんて事を言い出して足元を見る商売人なんて、成敗されても仕方ない、というか今は自分のお腹が大切だ、別世界だけど、空腹を感じるのだ。
 「ありがとうございます」
 本当は怖い人だろうと思うけど、お礼は言わなくてはいけない、人として。
 「あんた、一人か」
 「はあ」
 一瞬、意味が分からず、曖昧な返事をしたときだ。

 「おい、鰐野郎」
 男の声が背後から聞こえてきた。

[9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ