迷い混んでしまった
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さ、正直、二つ、食べたくらいでお腹が満たされるとは思えない。
屋台の親父は、じろじろとぶしつけなまでの視線で、サービスしてやってもいいんだねと言ってきた。
(サービスって)
その言葉と視線に女は内心、むむっとなった、子供ではないのだ、駄目だ大事な金貨、所持金はこれだけなのだ、無駄遣いはできない、諦めようと思ったとき。
「オヤジ、いい商売してるじゃねえか」
横から声がした。
「代わりに俺がしてやってもいいんだぜ、サービスというやつをな」
店主の顔色が真っ白になった。
「あ、あのいいんですか」
袋一杯に入ったパンをくれたのは、顔に傷のある、手にはかぎ爪のある男だ。
「代金を払います、足りないかもしれませんが」
取り出した金貨を渡そうとするけど、男は首を降って、受け取ろうとはしない。
「気にするな、サービスだ、なあ、オヤジ」
こくこくと店主は頷くが、その顔に表情というものはない、一瞬、気の毒と思ったが、サービスなんて事を言い出して足元を見る商売人なんて、成敗されても仕方ない、というか今は自分のお腹が大切だ、別世界だけど、空腹を感じるのだ。
「ありがとうございます」
本当は怖い人だろうと思うけど、お礼は言わなくてはいけない、人として。
「あんた、一人か」
「はあ」
一瞬、意味が分からず、曖昧な返事をしたときだ。
「おい、鰐野郎」
男の声が背後から聞こえてきた。
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