第四章
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「使用人達の九ヨもそこから出るが」
「その分はですね」
「奮発する」
「私達の生活費を切り詰めても」
「そうしてもだ」
「出すものですね」
「貴族は吝嗇であってはならない」
子爵は言い切った。
「断じてな」
「貴族ならですね」
「そうだ、何があろうともだ」
子爵はこのエウロパ貴族の不文律も出した、エウロパ貴族の不文律は多くこれもまた然りであるのだ。
「常にだ」
「民衆、即ち平民に対してはですね」
「気前よくですね」
「お金を出さねばならない」
「若しそれを怠ると」
「貴族ではない」
子爵は厳しい声で言い切った。
「特に領主であればな」
「領民でもある使用人達には」
「待遇をよくしてだ」
勿論暴力は許されない、某量を振るえば厳罰が待っている。
「そして給与もだ」
「弾む」
「尚且つチップもな」
「気前よくですね」
「そうしなければだ」
「駄目ですね」
「貴族だからな、私もだ」
子爵は自分もと話した。
「そこは守る」
「何があろうとも」
「私達の生活がどれだけ質素になろうともな」
「そうしたところはですね」
「出すものだ、だからこれからもな」
「待遇はよくしていき」
「給与もチップも多く出す」
何がろうとも、というのだ。
「そうしていく」
「貴族として」
「それではな」
二人でこう話してだ、そしてだった。
子爵は家全体で自分達の使用人達には給与もチップも弾んだ、このことで星系の平民達つまり領民達から称賛されたが子爵は妻にこのことでも話した。
「このこともな」
「貴族なら当然ですね」
「だから誇りにも思わない」
「あくまで当然ですね」
「そうだ、胸を張らないことだ」
断じてと言うのだった、厳しい声で。そうして自分達の暮らしは質素にしていくのだった。そしてこのことも誇りに思わないことを誓った。
そしてそんな彼等をエウロパ戦役の折エウロパに戦争で入った連合軍の将兵達は馬鹿にしきった顔で言った。
「エウロパは貴族も貧乏だな」
「平民から搾取してこれか」
「働かないでも貧乏か」
「つまらない奴等だな」
彼等の国力と文明レベルから言う、子爵はその彼等については妻にこれ以上はないまでに忌々しい顔で言った。
「愚か者達にはわからないことだ」
「全くですね、私達のことは」
「所詮は蛮人共の徒党だ」
彼等についてはこう言うだけだった、だが自分達の星系には彼等は来ておらずまた一般市民やその施設、産業には手を出していないので言うだけであった。そして戦争から帰った嫡男の無事を祝い戦後は復興政策に精を出した。
節約貴族 完
2019・10・16
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