第四章
[8]前話
「しかもね」
「汚い書き込みしてね」
「心の中の悪意と醜悪さ曝け出して」
自分のそれをというのだ。
「画像まで捏造して」
「犯罪までしてね」
「これは」
どうにもというのだ。
「おかしいどころじゃないよ」
「異常だね」
「そうとしか言えないよ」
最早そうだというのだ。
「これは」
「僕もそう思うよ」
「全くだよ、ただ」
河田はここでスレッドを閉じた。そうしてパソコンの画面からも目を離してそのうえで高橋に対して話した。
「一つわかることがあるよ」
「それは何かな」
「人間悪意ってあるよね」
「ああ、それだね」
「それがどれだけ強くて醜いものか」
「そのことがだね」
「このスレッドからわかったよ、わかっていたつもりでも」
それでもというのだ。
「ここまで酷いものだとはね」
「思わなかったね」
「それは時として他人から見れば何でもないものに対してもね」
例えそうであってもというのだ。
「露わになる」
「そういうものだね」
「そのことがわかったよ」
「そうなんだね」
「全く、アンチもここまできたら」
「もう異常だね」
「人間ですら」
あまりにも強烈な悪意、心の中の醜悪さを曝け出したならというのだ。
「なくなってるよ」
「本当にそうだよね」
「何か別のものだよ」
「人間でないなら何かな」
「餓鬼かな、冥府魔道に堕ちたね」
「そうなるかな、言われてみたら」
高橋は河田の言葉を否定せずに述べた。
「本当に」
「そうだよね」
「こうはなったら駄目だよ」
河田は今度は眉を顰めさせて述べた。
「人間ならね」
「アニメやゲームが好きでも」
「声優さんが好きでも」
「アンチになったら駄目で」
それでというのだ。
「そしてここまで堕ちたら」
「人間ですらなくなるから」
「気をつけないとね」
「本当にそうだね」
二人でこうした話をした、そしてだった。
河田と高橋は後は来期のアニメの話をした、何が面白そうなのかを。それは純粋なアニメファンのもので悪意は全くなかった。その話をする二人は笑顔であり話していて実に楽しいものであった。先程のスレッドにあったものは全くなかった。
声優ファン 完
２０１９・１２・１８
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