第8章:拓かれる可能性
第242話「全滅」
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意識を既に失ったディアーチェとレヴィを傍らに、シュテルが呟く。
最後の抵抗とばかりに、全力の砲撃を放つも、それも防がれた。
「(諦められない。諦めたくない。……抵抗の意志は、まだ潰えていない。……でも)」
“闇”の砲撃に呑み込まれる。
いくら意志では諦めていなくても、その上からイリスは叩き潰してくる。
どうあっても“絶望”の二文字が脳裏にちらついていた。
「くっ……!」
気が付けば、残ったのはリニスだけだった。
司が強くなったと同時に、その使い魔であるリニスも強化されていたためだろう。
しかし、今となってはそんなのは誤差でしかない。
眼前には回避不可な“闇”の壁。防ぐ余力も残っていない。
「っ、ぁああああああああああああああああああ!?」
身を焦がされる。
“絶望”の二文字がリニスの心を蝕んだ。
彼女を呑み込んだ“闇”が晴れた時には、既に死に体だった。
「終わりですね」
イリスがそう言うのと同時に、サーラとユーリが地面に叩きつけられた。
なんていう事はない。祈梨との戦闘中にイリスに横槍を入れられただけだ。
祈梨との戦闘に集中していた二人は、イリスの攻撃をまともに受け、こうして地面に叩きつけられたのだ。
「み、皆さん……」
「まだ戦闘可能なのは貴女達二人だけです。……尤も、今叩き潰しますが」
死屍累々な惨状をサーラとユーリは目の当たりにする。
直後、イリスの宣言通りに二人は集中砲火を受けた。
二人だけでその火力を防げる訳もなく、悲鳴を上げる間もなく倒れた。
「……これで全滅ですね」
その様は、椿達が介入する前の焼き増しだ。
誰も立ち上がる者はおらず、敗北を喫した。
「トドメを刺しなさい」
今度こそとばかりに、イリスは生き残っていた神々に指示を出す。
倒れた司達の“領域”を完全に砕くため、魂ごと殺しにかかるつもりだ。
本来、“領域”は神界の神ですら消滅させられない。
だが、神界以外の存在且つ、消滅の一歩手前までなら、時間を掛ければ可能なのだ。
それを、イリスは行おうとしていた。
「っ………やめ、ろ……!」
唯一、能力を失ったが故に真っ先に倒された神夜が、目を覚ました。
しかし、抵抗する術もない神夜には、どうする事も出来ない。
「……ふふ、せっかくです。私の人形として踊ってくれたお礼に、貴方を壊すのは最後にしてあげましょう」
「ふざ、けるな……!がっ……!?」
その上で、イリスは容赦しない。
ただでさえ身動きが出来ない程ボロボロだというのに、さらに拘束を加えた。
最早、神夜には目の前で起きる処刑を見る事しか出来なかった。
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