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小玉鼠
第三章

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「あれよね」
「ヤマネって冬眠するけれどそれをマガギさんが掘り起こして悪いことしたとかね」
「そう思ってなの」
「祟りがあるとかいう話がなったとか」
「色々言われてるのね」
「そうなんだ」
「そうしたお話は聞いたけれど」
 今とだ、加恋は文哉に応えた。
「それでもね」
「破裂して死んだけれど」
「死んでこうまでする警告も気になるし死んだら終わりでしょ」
「そうだよね」
「ましてや小玉鼠自分から来て破裂したし」
「どういうことか」
「死んだらどうにもならないんじゃ」
 加恋はそのことがどうしてもわからなかった、そうして首を傾げさせているとふと二人の前にすうっと風が吹くと。
 破裂して肉片や骨の欠片になっていた小玉鼠の身体は瞬く間に元に戻った、そうして鼠特有の素早い動きでだった。
 二人の前から駆け去って山の中に消えて言った、二人はその一部始終を見たが加恋は全てを見てから文哉に話した。
「妖怪だから」
「うん、風が吹いたらね」
「それで復活出来るのね」
「このこともどうしてか言い出したら」
 それこそとだ、文哉は加恋に話した。
「あれやこれやって説が出て」
「難しいのね」
「学説は学者さんでそれぞれだからね」
「それでなのね」
「うん、けれどとにかくね」
 加恋は文哉の話を聞いてから妖怪のことつまりは小玉鼠が風が吹いただけで復活することについて自分から破裂することと共に納得出来ないと思いつつそれが長い話になると思ってここでこの話を終わらせることにした、その為にこう言った。
「生き返るのならいいわね」
「まあそれならな」
「破裂しても、じゃああらためて山登り続けましょう」
「頂上まで行ってだね」
「そこでお弁当食べてね」
 加恋が作ったものだ、お握りに卵焼きにほうれん草のひたしにキンピラも入れた。そこにプチトマトや苺も入れてお茶も持って来ている。二人で食べる為に腕によりをかけて作った弁当だ。
「景色も楽しみましょう」
「じゃあ頂上まで行こうか」
「そうしましょう」
 肝心の妖怪も見ることが出来てしかも死んでも復活することもわかった、納得出来ないこともあるがここまで見ることが出来ればいいと考えつつだった、加恋は文哉に話した。そうしてそのうえで加恋は文哉と共にだった。
 山の頂上を目指した、そうしてその頂上で敷きものを敷いてからその上に二人で座って弁当を出して食べた。その弁当は実に美味いものだった。


小玉鼠   完


                  2019・10・6
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