第一章
[2]次話
出店のイカ焼き
大阪に来て舟崎綾は戸惑った、それで小学校の友人達に尋ねた。
「あの、こっちじゃお好み焼きおかずなの」
「えっ、おかずやろお好み焼きは」
「そやろ」
クラスメイト達は綾にすぐにこう答えた。
「お好み焼き定食とかな」
「普通にあるし」
「あと焼きそばもそやな」
「おうどんも」
「あの、炭水化物だけれど」
お好み焼きはとだ、綾はクラスメイト達に言った。少し収まりの悪い黒髪を短くしている。はっきりとした目で睫毛は長く唇は赤で程よい大きさだ。背は女の子の中では高めで小学校六年生の割には発育がいい。
「おかずにするの」
「って綾ちゃんのとこはちゃうの」
「綾ちゃん栃木から来たんやったっけ」
「そやったね」
「栃木というか関東だと」
綾はこれまで自分が住んでいた地域のことから話した。
「それないから」
「お好み焼きおかずにせんの」
「あっちやともんじゃやね」
「もんじゃ定食とかないん」
「ないわ、というか炭水化物をおかずにすることは」
それ自体がというのだ。
「ないから」
「ほなおうどんと親子丼とか」
「あとお蕎麦おかずにしたりとか」
「そういうのも」
「ないから」
とてもというのだ。
「おうどんをおかずにっていうのも」
「ほな焼きそば定食もやね」
「さっき出たけど」
「そっちも」
「ないから、関西ってそうなのね」
綾は驚きを隠せなかった。
「炭水化物おかずにするのね」
「勿論たこ焼きもやで」
「たこ焼きおやつにもするけど」
「おかずにしたりする人もおるで」
「そっちも」
「そうした場所なのね」
綾は大阪の食文化に驚きを隠せなかった、ただ街を行けば阪神ばかりなのは楽天ファンでセリーグに興味がないのでどうでもよかった。
だが大阪の食文化には驚きの連続で。
うどん屋で母にこう言ったりもした。
「おつゆの色が」
「違うでしょ」
「薄いけれど」
「お蕎麦のそれもね」
「これで味があるの?」
「関東、特に東京だとね」
どうかとだ、母は綾に話した。見ればロングヘアにしている以外は綾によく似ている。母娘であることがよくわかる。
「お蕎麦のおつゆ黒いでしょ」
「真っ黒だけれど」
「けれどこちらではね」
関西ではというのだ。
「おつゆはこうした色なのよ」
「そうなのね」
「それでね」
母は娘にさらに話した。
「美味しいわよ」
「そうなの」
「食べてみればわかるわ」
「じゃあ」
綾は母の言葉を受けて自分のうどんを食べてみた、きつねうどんだ。
そのうどんを食べてだった、綾は母に言った。
「確かに」
「美味しいでしょ」
「ええ」
実際にとだ、母に答えた。
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