第一章
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主治医を雇ってみた
魔界において絶大な力を持つ魔王、魔神とも呼ばれている存在の一人であるブエルはこの時本来の雄獅子の頭に山羊の五本の足が星の様に生えている本来の姿ではなくベートーベンが赤いタキシードを着た様な姿になってそのうえで家臣の者達の言葉を聞いていた。
「わしも主治医をか」
「はい、雇ってです」
「そのうえで健康管理をされては」
「そうされてはどうでしょうか」
「そうだな、悪魔は基本死なない」
ブエルは家臣達にまずはこのことから答えた基本ロココ様式だがそこに燃え盛る炎や雄獅子の模様や彫像が多くある自身の宮殿の中において話した。
「特にわしの様な魔王、魔神と呼ばれる存在になるとな」
「不老不死ですね」
「最早完全な」
「お亡くなりにならない」
「左様ですね」
「そうだ、老いることもなく死ぬこともない」
まさにとだ、ブエルは重く低い男の声で答えた。ベートーベンの肖像画の様な顔は厳めしいが品性と威厳もあり赤いやはりベートーベンに似た髪の毛も風格を感じさせる。
「だからだ」
「主治医殿はですね」
「雇われたことはないですね」
「一度も」
「魔界にも医師はいるが」
それでもというのだ。
「老いることも死ぬこともないのではな」
「どうしても疎遠になりますね」
「そこは」
「そうだ、魔王の中にも主治医がいる者は多いが」
それでもというのだ。
「やはりな」
「どうしてもですね」
「ブエル様の場合は」
「そちらは」
「考えたこともなかった、しかしな」
それでもとだ、ベウルは家臣の者達の言葉に頷いてだった。
そのうえで自分の主治医を雇うことにした、そうして紫の肌に丸眼鏡、白い髪の毛をオールバックにした白衣の痩せた男が主治医となった。
名前はアントン=キタザトといった、医師は正式採用となった際に宮殿の主の座に座っているブエルに恭しく一礼して話した。
「これから宜しくお願いします」
「うむ、専門は内科だったな」
「泌尿器科と性病科もです」
「性病?あちらもか」
「はい、それでなのですが」
早速だ、キタザトはブエルの傍にいる若い家臣の一人を見て話した。
「そちらの方を治療させて頂きます」
「それがしを」
「貴方のお顔に少し赤い斑点がありますが」
「少し痒くて」
「梅毒ですね」
この病気に罹っているというのだ。
「何処かで感染されたのでしょう」
「その者は娼館通いが好きだが」
「そちらですね、ではです」
すぐにだ、キタザトは話した。
「詳しい診断の後でお薬をお渡しします」
「まさか梅毒になっているとは」
「悪魔は病では死にませんがお気をつけを」
そこは人間と違うがとだ、キタザトはその家臣に話した。
「身体の調子が悪く
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