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fate/vacant zero
情熱の舳先
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天幕テントを抜ぬけ出だし草くさむらかき分わけ小道こみちを抜ぬけて。

お姫様ひめさまは湖みずうみにやってきました。

二ふたつの月つきにきらきらと輝かがやく湖みずうみは、穏おだやかな風かぜと静しずかな波なみに引ひき立たてられ。

それはそれは美うつくしく染そまっていました。


岸きしにあらわれたお姫様ひめさまもその美うつくしさに魅みせられて。

ふらふら水辺みずべへ近ちかづきました。

これ以上いじょう進すすめば濡ぬれてしまうほど近ちかづいて。

それでももっと近ちかくで見みたいお姫様ひめさま。

少すこし辺あたりをきょろきょろし、近ちかくに人ひとの気配けはいがないことを確認かくにんすると。

おもむろにするりとドレスを脱ぬぎ落おとし。

安心あんしんしたように微笑ほほえみながら、しずしず湖みずうみの奥おくへと進すすんでいきました。


ひんやりした水みずは、心こころに沈しずんだもやもやしたものを押おし流ながしてくれるようで。

お姫様ひめさまはそのままちゃぷちゃぷ水みずを掻かき、気きままに辺あたりを泳およぎ回まわりました。

水みずに揺ゆれる月つきの光ひかりを楽たのしみに、水底みなそこ目指めざして潜もぐってみたり。

空気くうきが足たりなくなって慌あわてて水面みなもを目指めざし、勢いきおいあまって魚さかなの如ごとく宙そらに舞まったり。

静しずかに水面みなもに寝ねそべって、大人おとなしく月見つきみを楽たのしんだり。

しばらくの間あいだ、お転婆てんばさを遺憾いかんなく発揮はっきしたお姫様ひめさまは。


やがてその波なみの音おとに混まじり。

草葉くさはの捩にじり掠こすられる音おとを耳みみにして。

慌あわててお体からだを水みずの内うちに沈しずめました。







Fate/vacant Zero

第三十二章 情熱パトスの舳先みずさき







 肋骨が折れる。

 ここ、夕暮れのヴェストリ広場に立つ才人は、冷や汗垂らしてそう杞憂するほどに緊張していた。

 ブツを購入したその夜、仕立て直しをシエスタに頼もうかどうかを悩んで転がって、あんまりに煩かったからかビリビリをくらったり。

 悩んだ末にシエスタから糸と針と鋏を借り、「これは武器、職人の魂。これは武器、職人の(略)」と念仏みたいに繰り返しながら服を解体したり。

 さて縫い直すかと大体の寸法を思い浮かべようとして、うっかり一緒にお風呂事件の感触の方まで思い出して自己嫌悪に浸ったり。

 良心と葛藤しながら縫い直していたら、ちょうど帰ってきたルイズが一瞬にして般若と化してまたビリビリをくらったり(なんで裁縫できるんだ、だそう
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