情熱の舳先
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だよッ! 悪いかッ!」
悪いわ。
「だって、自分で着るしかないじゃないかッ!
ギーシュにはモンモランシーが居るし、きみの使い魔の平民にはタバサが居る!
でも、でもぼくにはガールフレンドなんて居ないんだよォオォオオオッ!」
──ちょっと待て。
「あら嫌だ、聞き間違えたかしら。
サイトと、タバサがどうしたの?」
「え?
だって、あいつがタバサにこの服を着せて、くるくる回らせたり、飛び跳ねさせたり……っ、ああ、思い返すだけで、ぼくの心は可憐な官能に焦げてしまいそうだ!
だからその想いを縁よすがに、せめて鏡にこの服を着た自分の姿を映して……ああ、ぼくは……踏まれるぼくもなんて可憐な、あぁ! あ、あぁあぁあああ!」
背筋を走る余りのおぞましさに、ルイズは体をくねらせ始めた怪生物の横っ面へと足を叩きつけ、マリコルヌは絶叫した。
だが、その顔は更に心地良さそうに歪んでいる。
「おだまり、豚。
……いや、その前に一つだけ答えなさい。
あんたがその二人を見たのは、いつ?」
「あ、あぁ! き、昨日、昨日のっ、あああッ!
る、ルイズ! ああ! ルイズ!
きみみたいな美少女に踏まれて、我を忘れそうだ!
ぼくの罪を清めてくれ! 懺悔させてくれ!
こんなとこで可憐な妖精さんを気取って、我を忘れたぼくの罪を踏み潰してくれッ!
ぼくは、ぼくはどうかしてるッ!
ぁ、あ、んんぁあぁああああああああああッッ!!」
「……ええ、どうかしてるわよ。あんた」
最後の絶叫に合わせてコメカミを踵で抉ったルイズは、相反する怒気と怖気を振り払うようにきびすを返した。
「そう。そういうことだったの。
昨日? あれだけ節度を守れって言っておいたのに、一週間も保たないのね?
おまけに、くるくる回らせた? は、跳ねさせた?
……ふ。
ふ、ふふ、うふふふふふ。
そう、そうなのね。
骨の髄といわず、魂の芯まで刻み付けないと理解できないのねあの犬チクショウは」
うふふと笑いを溢しながら、幽鬼のようにルイズは部屋を後にした。
「上等じゃない。
貴族の礼儀を、理解出来るまで。
何度でも。
何度でも何度でも。
何度でも何度でも何度でも何度でも。
嫌と言っても泣き叫んでも、容赦なく教えてあげるわ。
使い魔バカイヌ」
「あら? 丁度いいところにキュルケ」
不意に掛けられた珍しい声に、何の気なしに振り返ったキュルケは、頭から瞬間冷凍フリーズドライされた。
なんだアレは。
「ねえキュルケ?
あ
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