情熱の舳先
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だ。わからん)。
翌日一番、つまりは今朝、食堂でさて渡そうかと懐に手を入れ、(そういえばこれはぢめてのプレゼント?)とか(こんな大勢の前で?)とか雑念アホなことが浮かんでフリーズしたり。
今度こそはと昼飯時、いざ気合一発タバサに話し掛け、出てきた言葉が「放課後、ヴェストリ広場まで来てくれ」とだけ、なんてヘタレてみたり。
……思い返すだに額を割りたくなるほど恥ずかしい。
と同時に、あんまりにも不審すぎてルイズにバレた可能性が高い。
血の気が引いたり満ちたり忙しく顔色を変えつつ、後で言い訳を考えとかないとマズいなぁ、と才人は崩れた。
まあ、そんな具合に間抜けを晒しながらもどうにかこうにか、ブツは渡せたわけである。
にも拘らず、こうしてまだ広場の片隅で立ち尽くしているのはなぜかというと……まあ、端的に言えば、タバサが受け取りを渋ったからだ。
“わたし”はこの間の戦いには参加していないから受け取れない、だそうだけれど、だからといって何も無しは才人的に自身が許せなくなるから却下。
じゃあこうしよう、と才人はそこで一つの提案をしたのだが──
「……やっぱ実は俺が見たかっただけなんじゃないのか、才人オレ。
なんだよ『着た所見せてくれ』って。
『俺が、タバサがそれ着てるとこが見たいんだ』ってムキになってまで言うことか……?」
言った当人は額に手を当てて唸っていたりもする。
今はそうして、着替えてくる、とタバサが部屋の方へ去ってから5分が経ったか10分が経った頃だ。
自己嫌悪ループを途切れさせもせずぐるぐると歩き回ったり木に額を叩きつけたり天を仰いだり、非常に挙動不審な趣おもむきの才人。
「──おまたせ」
その背後に音もなく降り立ち、聞きなれた声を掛けてきた少女が一人。
思わずびくりとして振り向いた才人の耳に、
耳に届く、全ての音が己を殺して遠ざかった。
こっちを見たと思ったら、何だか小揺るぎもせずに全身を固めた彼。
表情も何となくにやけた風なままで凍り付いていて、少し気味が悪い。
そんなに似合わなかっただろうかと、胸の前に右手を持ち上げて見れば、だぶついた袖がすっぽりと指先までを覆って垂れていて。
「ふぉぉぉおおおおおおおおォオオオオオヲヲヲヲヲヲヲヲ!」
そうした途端、音を立てて彼が壊れた。
声とも呼べない何かをひとしきりシャウトしたかと思うと、
「きた! ぶかぶかたばさキタ!
さっき罵ってごめんкткрマジ最高よくやったヲレ!
次からはもっと本気出していいぞ!」
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