免避れし者たち
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るかと思う。
無駄に想像力を働かせた才人は、ためしに脳内でタバサがこれを着ている姿を創造してみた。
──ぶかぶかだ。
まあ、男物の服なのだから、小柄なタバサでは服に着られて当然である。
才人の脳内では、膝まで届きそうなセーラー服を羽織り・・・女の子座りして杖を掴むタバサが、大きいとかなんとか抗議をしていた。
……だがそれがイイッ!
ごくりと唾を飲もうとして変なところに入った才人は、必死にむせ返りながらそう叫んだ。心で。
いろんな意味で悶える才人をヘンなモノのように見つめ、ルイズはその背を引っ叩いた。
「何やってんのよ、アンタは。
服が欲しいんなら、そんな中古じゃなくたってもっといいのがそこら辺で売ってるでしょうに」
いや、そんなものよりもこれの方がずっといい。
そう反射的に口に仕掛けて、そういえば自分の服も半袖オンリーになっているなぁ、と思い直す。
これを買ったら、見て回ろうかと。
既に買うことは規定事項なのか、セーラー服の襟首をがっしり引っつかむと、店主に尋ねた。
「これ、お幾ら?」
「あいよ。中古だし折角の纏め買いだ、三着1金貨でいいぜ」
ルイズの頬がひくついた。
高い。
極小サイズの魔法石付きとはいえ、一着換算でもいまルイズが着ているシャツの買値よりちょい高いくらいだ。
というか何故さりげなく店主は三着もセットで買わせようとしているのかと。
正直とても中古とは思えないその値段だったが。
「ほいほい、これだっけ?」
「おぉう、気前いいなぁアンちゃん!
おまけだ、換えの風石(小)3個1セットもついでにつけとくぜ!」
「え、いいの?」
「いいってことよ! 毎度ありぃ!」
刹那の躊躇ちゅうちょすらなく、才人は白服三着を購入し。
ルイズは軽い目眩を感じた。
日は、未だ高く。
トリスタニアの熱狂は、なおも半ばの知らせなし。
つまり、しかして、今日の世界は平和である。
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