免避れし者たち
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質と生体質のどっちがいい? ――ほら」
「むぐ。…………。……金属質で頼もうか」
この腕ては、既に失われているのだから。
「…………。…………。……ああ、そういえば……ここはどこだ?」
「や、ようやくかい。あんまりにも平然としてるから、ずっと意識があったのかと思ってたよ。
……ここはアルビオン。ロンディニウム郊外の寺院だよ。
昔の伝手つてを伝ってたら、ここに行き着いたのさ」
「……アルビオン、か。侵攻作戦は結局どうなった?」
「蓋を開けてみれば、モノの見事な失敗さ。
……ほら。
あんたが墜とされて間もなくになるが、綺麗さっぱりと艦隊が全滅してね。
そのまま、降下部隊の多くはラ・ロシェールとタルブの森からトリステイン兵に挟撃されて御用。
……ほい。
無事に戻ってこれたのはわたしみたく攪乱かくらんに廻ってた、ごく少数の連中だけさ」
聖地再興の夢レコン・キスタは、その一歩を外へと踏み出した途端、沼に突っ込んでしまったらしい。
つまるところは。
「やれやれ、というわけだ。……むぐ」
……ん?
もくもくと飲みこんでいると、何やら胸元が落ちつかない気がした。
残っている方の腕で軽く胸の辺りを探り、違和感の正体に思い至る。
「……いかん、落としたか?」
ロケットが無い。
さっと血の気が引いた音がした。
屋敷を押さえられた以上、既にあれは代えが効かない一品なのだ。
「うん? これをお探しかい?」
内心の慌てに気付かれたのか、フーケはそういうとスープの器を置き、丁度そこに置いてあった銀細工を差し出す。
そう、それだ。
この瞬間だけは痛みを捨て置き、半ば奪い取るようにしてそれを首に掛けた。
……うむ。落ち着く。
「慌てなくたって、ペンダントは逃げやしないって。
そんなにその人が大事なのかい?
えらく綺麗な人だったけど」
ぴしり、と空気が固まった。
気がする、ではなく全力で体が固体。
ぎぎぎと首を軋ませ、目の奥を見るように合わせ、問う。
「………………見たのか?」
「さあて?
これは例え話だけど、意識を失っても離そうとしないものを持っている人間が目の前に居たら、アンタならどうする?」
なるほど、よく分かった。
「盗賊心とは不可思議なものだな」
「なんだいそりゃ。
……それよりさ、誰なんだい? 恋人?」
ぎしぎしと首を振るい、脳裏を掠めたあの日の姿に心を軋ませて答える。
「母だ。形見という奴だな」
一瞬眉
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