免避れし者たち
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」
「、そうか」
再び天井に向きなおると、匙が口から抜き取られた。
痛みも少し引いてきて、段々と現在に至るまでの状況を思い出す。
あの戦場で、確かにあの因敵こぞうと殺やりあったことを。
確かに自分があの瞬間、継戦力を失っていたことを。
そして、意識を失う直前に見た、天地貫あまねくつらぬく光条を。
思い出す限り、自分はあの場に限っては、小僧の主たるルイズの姿を目撃せず。
しかし、あの光の出元は明らかにあの小僧や騎士とは外れていた。
ならば、あれが。
あの光こそが、ルイズに眠っていた“力”なのか。
だが、あの力は一体――
「むぐ」
……またしても匙を捩ねじ込まれた。
人が考え事をしていると言うのに、
「…………うむ。何をしている?」
「しっかり噛んで飲み込んでから言う台詞じゃあないやね。
見ればわかるだろ?」
見れないから訊いているのだが。
「毒でも盛って――まぁ待て、冗談だ。
だから皿を振り被るな」
動けない身には非常にマズイ気配を感じて、言い繕った。
「どんだけ失礼なんだいアンタは。で、答えは?」
「見舞いだろう。シチューを持って」
「看病って言いな。後、これは弩牛グレートオックスの煮凝り汁スープだよ」
そうか、と答えて少しでも食べやすくなるよう、首を固めたまま軽く身を起こそうと……出来なかった。
正しくは、
「……おい。一つ、いいか」
「なんだい?」
「俺の……俺の、腕はどうなってる?」
極普通にベッドにつこうとした片腕の、肘から先の感覚がまるで無い。
いやそれどころか、これは。
この、肘の外でも内でもなく、奥に感じる布の感触は、まさか――
「……いいかい、落ち着いて聞きな。
あんたの腕についてだが……墜ちてきたアンタを竜から下ろした時、竜の背中に何本か木材が――多分だけど、艦ふねに使われてたヤツだ――それが刺さっててね。
その内の一本が、千切れかけてたアンタの片腕を打ぶち抜いてたんだ。
流石に、あれだけ混ざっちまっちゃあ・・・・・・・・・いかに魔法でももう無理だったから――」
「そうか」
その先は、聴くまでも無い。
それだけわかれば、もう充分だ。
充分すぎた。
「……まだ途中だよ」
「いらん。ああいや、スープは欲しい。腹が減った」
「はぁ……ったく。ああ、そうそう」
つまるところ、どう言い繕えども、
「義手は一週間も有れば出来るそうだけど、金属
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