第四部
水の哀悼歌
湖沼の国の姫陛下
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何か・・はあったわけだし。
というか色んな意味について詳しく。
うぐ、と更に詰まったルイズは、気恥ずかしさと謎の反発感に挟まれながら、渋々ととりあえずの原因を差し出した。
「……なにこれ」
「茶色い、……やっぱり、白紙?」
そのとても古めかしい一冊の開かれた本は、やはり二人には白紙にしか見えていないようだ。
ルイズの目には、今も黒い油質の文字がはっきりと見えているのに。
原因は……つと、今も左手に嵌めたままの水の指輪ルビーが目に留まる。
『選ばれし者、定められし者、杖もち、宝玉指にして印に触れよ』と表紙裏にはあった。
宝玉……指輪ルビーの有無か、印に触れていないからか。
選ばれし者、とは何に選ばれた者なのか。
定められし者、とは何が何を定めているのか。
疑問は歴史並にあるけれど、今は置いて説明をしよう。
あの時、シルフィードが墜とされた時に、何かの偶然でこの本アーティファクトの起動条件を満たし、発動させてしまったこと。
その際、この書に記されていた魔法の内の一つを完全に唱えきったら、あんな威力になっていたこと。
この為、タバサには才人を範囲から逃がしてもらいに行ってもらう破目になったこと。
かの日の軌跡は、詰まる所そんな三行に収まり束なった。
「というわけなの。
今回使ったのは『爆砕エクスプロージョン』っていう、放つ前にイメージした生きてないモノを、放った魔法力の内側で粉砕する呪文よ」
「粉砕ってお前……」
「だって、そう書いてあったんだもの」
一通りの説明を終えると、才人はあんぐりと呆嘆し。
「……よけい納得いかない」
タバサは首を捻っていた。
「なにがよ?」
「なぜ未だに倒れていないのか」
「そんなこと言われても、ほんとにただ倒れなかっただけよ。
あれから日も経ってだいぶ楽にはなったけど、唱えた直後なんて声も出したくなかったもの」
……そう、と不承々々ながらもタバサは頷く。
あまり深く突っ込まれずに済み、ほっとした。
のも束の間。
「ところでルイズ。
その本、どうやったら読めるんだ?」
才人が、なにやら目を輝かせていた。
ひくりと、ノドが啼いた。
「それは――え、えっと。
ねぇタバサ。あなた、こいつに古代魔法語ビュウノスとか教えたりした?」
「……まだ。使う機会も、無いと思ったから」
「そっか……そりゃそうよね」
ほっと一息、ルイズは溢した。
「? ビュー……何だって?」
「古代魔法語ビ
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