第四部
水の哀悼歌
湖沼の国の姫陛下
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心当たりなど、一人しか思い当たらなかった。
「あなたも、関わっているのですか?」
あの日の太陽きせきに。
ルイズ。
さて。
つい先日に戦があったばかりとは思えないほど賑やかしく慌しい王都とは対称的に、だがやはり戦の後とは思えないほどに魔法学院は平和だった。
というか、戦があったという実感を持っている者すら殆ど存在しなかった。
なにせこの学院、今回の戦に関わった何某なにがしと言えば、結局公布すらされることの無かった禁足令の通達くらいなものである。
それさえ即日の要請解除で有耶無耶の内に済し崩したのだから、その存在を知っていたものすら極少数の教員に限られており。
結果としてその他の多く。
奇跡当日のちょっぴり豪勢な夕食にて初めてその戦争と王軍の勝利への祝辞を一緒くたに老から聞かされた教員生徒に、現行で戦争をしている自覚なんぞあろうはずもなく。
こうして今日も、トリステイン魔法学院はごく何時も通りのんびりとした平常運営を行っているのである。
で、そんな学院の、時は戴冠式の昨日。
「……、…………。
…………し、こんなもんでいいか。
タバサ、そっちは?」
「……。…………、……。
こちらも、準備完了」
戦闘を終えたタルブから慌しく帰って以来のこの虚無の日に、ようやく纏まった時間が取れた才人とタバサは、
「ちょ、ちょっと! 何よ、何が始まるのよ!?」
「何が、なんて分かりきってるだろ?」
ここ、タバサの部屋にて、
「尋問会」
「会!?」
過日の件くだんの奇跡まほうについて聞き出すため、ルイズを招待らちしていた。
招待の際には窓より出入りし、音が洩れないよう扉と窓に『凪サイレント』まで掛ける徹底振りである。
「とまあ、そういうわけでだな。
あの太陽もどきについて教えてくれ。
何やったんだ? お前」
「きりきり吐く」
「うっ……な、なんであんたたちに教えなくちゃいけないのよ?」
ルイズも心当たりは有り過ぎるくらい有る。
あるのだが何となく、本当に何となくなのだがどうも素直に話す気にはなれず、挙動過多オーバーリアクションに身をたじろがせて尋ね返した。
「お前な。
あんだけ無茶なもんぶっ放しておいて本人がぴんぴん日常生活に復帰してりゃ、不思議に思うだろ普通」
「色んな意味で心配」
そりゃそうだ。
あの巨大かつ広範囲に戦列を組んだ艦隊全てを巻き込むほど精神力を消耗しておいて、何もないはずがないのだから。
実際に
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