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fate/vacant zero
新星
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 斯くしてここに、アルビオン軍包囲網は完成する。





「っと、こんなモンか。きつくないか、タバサ?」

「平気。……ありがとう」


 緩やかに降下を続けるF-15イーグルの中。

 割れた仮面で目蓋の上を切っていたタバサに包帯を巻き終え、一息つくと――



「ところで、タバサさん。姿勢、変えない?」

「ダメ。落ちる」


 膝の間に座って背中を預けられるというある種羨ましい体勢から逃れようと、無駄な努力を試みた。

 いい加減慣れてきたとはいえ、やはり年頃の娘さんと不用意に一次接触するのは、色々と火照って困った状態になるわけだ、体が。


 しかしダメってあーた。ダメって。

 理には適ってるけどああもうこの無口ッ娘め。


 身体的な意味で反応に困窮する才人は、とりあえずボディの火照りを押さえるべくふと思い出した方へ話題を変えることにした。


「そう、えっと、その。そういえば、さ。
 こいつに、いまタバサは乗ってるわけだけど……どう?
 乗り心地とかさ」


 それは、ほんの十日ほど前に交わされた約束。

 ……ほんの十日前だったはずなんだが、その後に色々と在り過ぎて随分昔のような気がする。

 具体的にどれくらいとは言わないし聞いてもいけないが。

 親父曰く笑いの筋と言うもんらしい。


 ともかく、タバサの返事は簡素だった。


「寒い」

「ですよね」


 そりゃ、まださっき艦ふねが浮いてた所より高いとこ飛んでるのに風防が割れてりゃあ寒くて当たり前だろう。

 夏だからそれなりに薄着だし。

 ましてまだ昼にもなってないし。


「でも」


 ……でも?


「――悪く、ない」


 ……そっか、


「そりゃあ、良かった」


 心の底からそう思うと、暖かい安心感と、軽い重みで胸が満たされた。





 いや、あの。タバサさん?

 服の端っこ摘まない、後頭部を胸に押し付けない、体重を俺に預けない。

 そんな密着したらあたるあたるあたってるっていやいやいやいや静まれ静まれ気合だ気合を抜くんだマインさん。

 こんな近くで振り仰ぎながら目を瞑つむって薄く笑うとかほんともう人類初の和み死にでも達成させる気ですか貴女。



 ああもう、此築生こんちくしょう。





「………………………………きゅ?」


 地鳴りが静まり、森に静けさが戻った頃。

 木からたれていたシルフィードはようやく目を覚ますと、首をぷるぷる振るい。


「きゅ!?」


 その拍子にバランスを崩して枝から落ちてし
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