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fate/vacant zero
新星
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 それは、背後から天に向かって真っ直ぐに貫くような……細い、細い光の糸。

 とてもか細く、だが小揺るぎもしないそれを確かに視認した。


 震える身を起こし、竜の体からそっと地上を見やれば、どうやらそれ・・は森の只中から、何の脈絡も無く生えているように見えた。

 それを確認した直後、ワルドは微かに笑いを含みながら――頭上からの、光に呑まれた。

《S弾けて》

 ただ一節のその詠唱こえを、確かにその耳に聞き取りながら。





「なんだありゃぁ?」

「……ルイズ?」

「ああ、なんかすっげえ見覚えがあるなぁこの光景……」

「奇遇だなぁ、オレもさ」


 くるくる円を描きながら大地を目指すF-15イーグルの操縦席コックピットの中。

 『飛行フライ』の使いすぎと酸欠で落っこちかけたタバサとそれを慌てて回収した才人。


 二振りは足元にて、その太陽に既視感を感じ。

 二人は座席に重ね座り、遥か眼下で突然花開き始めた真昼の太陽に目を奪われていた。


「これが――これも、魔法なのか? これが、ルイズの――」

「わからない。でも……とても、ルイズらしい」


 そう言葉を交わす間にも、どんどんそれは膨らんでいき。

 目を細めて竜を、艦隊を包み込んだ太陽の奥を見ようとする二人の耳に――

《N拒め》

 その祈祷こえが届いた。





「なにも、起こらない……?」


 太陽の内、完全に包み込まれたアルビオン艦隊を見渡しながら、ボーウッドは身構えていた体を少し緩める。

 間違いなく、この光は魔法によるものだ。こんな自然現象などあってたまるものか。

 だが、これは何を目的とした魔法なのだ?


 この艦隊を包み込んでいる光のような霧のような雲のような白い何かも、この身に何らかの影響を与えてくる様子が無い。

 感じるのはただ、怖気の走る強烈な圧迫感のみ。


 そう思った時、莫大な魔力が収束した。

 一箇所、というわけではない。

 艦内へ向かう部分、船尾へと向かう部分。

 一つの艦につき二〜四箇所に向かい、一瞬で圧縮された魔力は――



 太陽よりなお眩しい、圧力すら感じるほどの閃光と。

 硝子を割るような甲高い轟爆音を撒き散らして。

 ボーウッドはその瞬間、操船していた船員の周囲に積まれた風石の山が、四方八方から押し潰される様に砕け塵芥と化したのを見たような気がした。







Fate/vacant Zero

第二十九章 余編 新星ノヴァ







 その一瞬の戦慄からいち早く立ち直らざるを得な
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