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fate/vacant zero
竜が翼迫る雲の上
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後ろの風防が、勢いよくべっこりと凹んだ。

……通った!





「やべえ、相棒! こりゃ、もう一発喰らったらマジでオレっち落っこちちまう!」

「わかってる、もうやってる! やってるけど、あいつ落ちねえんだよ!」


 アフターバーナーを使用しないギリギリの状態に何度も到達しているのに、後ろに乗っているワルドはしぶとい。

 頼みの綱のタバサも、墜落しないギリギリの全力で飛び回るこちらの速度に明らかに追随しきれていない。

 もう一撃、もう一撃ワルドに攻撃を許してしまえば全てが終わる。

 終わってしまう。

 もう一撃……ん。



 ……もう、一撃、加われば?



「これだ!?」


 右旋回の自動操縦をONにし、おもむろにデルフの先端でハーネスを裂いてゆく。


「……っそうか、その手があった! やれ、やっちまえ相棒!」





大鳥が加速している間、何度も吹き飛ばされかけ。

それでもこいつだけはと、振り落とされるものかと、姿勢を低くし踏ん張っていたジャン。

彼はその瞬間、全身に感じる圧が下がるのを感じ、勝利の確信を確かに見出していた。


杖も、精神力も、確かにある。

後は呪文を唱え、杖を振るえば……あの小僧の首を、獲れる。


「Magnus大くよ」


数ある呪文より選択したのは、先と同じく貫通力と面の攻撃範囲。

「Turbidus病み」


もう一撃の『震風ウインドブレイク』を以って、硝子窓ごと奥の小僧まで攻撃を届かせるごり押し。


「Solo荒れ, Rui打ち据えよ」


そうして高々と杖を振り上げ、呪文の完成と共に、杖を――


「Ventか……a,sぁ!?」


振り下ろそうとした、腕が――

 振り上げられた腕を狙って――

「Fregi砕け, Gradius Aura風刃――!」

 思いっきり、杖を振りぬいた。

肘の辺りで、半断された。

力が抜け、吹き飛ばされそうになる杖を慌てて逆の手で掴み、

「Lunar襲え,」

「バカな――」

今にも砕け散りそうなヒビに塗れるガラスを見やれば、

「Magnus広大な」

「――魔法だとォ!?」

大きく裂けたその向こうに、一人杖を構え直す――

「Ventosus大気よ――!」

「ぅ、ぉおぉおおおおおおお!?」

軽装ベルトまみれの、竜騎士こぞうの姿!

「吹っ飛べぇえええええ!!!!」

直撃する。





「――ッ」


 砕け散った硝子を巻き込みながら襲い来る『風槌エアハンマー』に吹き飛ばされ、だがジャンは未だ諦めて
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