竜が翼迫る雲の上
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マズはアレから倒す。ぶっ倒す。
そうして裏の銃爪トリガーを一つ、がっつりと握り込んだ。
タンッ、と空気を打つ音がして。
目の前、迫る翼の付け根の辺りが赤く光り。
左の砲から一発限りだが飛び出した凶弾は空を奔り、竜を抉った。
勢いよく飛び出した細長い何かが、竜に着弾する瞬間にその背中を蹴って飛び出した。
その皮翼の右半分を形造っている骨を中ほどから槍たまに喰らわれ、きりもみを始める竜から弾かれたように飛び出す一影ひとかげが、機体の射線に重なり――
絶叫する竜を背後に正面、丸い窓硝子の向こうに座り構える小僧を、視界に捕らえた。
――ドクリと視界が脈打った。
影が頭頂から割れ、血を噴きながら笑い出す。
一瞬、翼が剣に見えた。
この一ヶ月間、生き物に剣を向ける都度、意識の底から俺を蝕んでいた“呪い”だ。
薄い板状の物を見るたび、こんな錯覚が見えるようになった。
流石に相手が斬った本人だからか、いつもの幻影に増してはっきりとした輪郭をしてる。
原因はやはり、この小僧か。
だが、構いはしない。
この翼やりも、あの魔剣も、皆こいつを慕うようにこの小僧の手元に集ってゆく。
後でいくら吐瀉に塗れようが、こいつだけは。
やはり、危険だ。
あの一瞬を、紛い物でも作り上げたこいつだけは。
何としても、この空で――
今、この瞬間にも杖を向けてくる――
「「こいつだけは!!」」
お互い、ソレと知らずに叫びあう一瞬の同調と共に。
引き金が引かれ、
杖が振るわれ、
ガキりと不快な音がする。
すっと体が風に乗る。
「な――」
一瞬で足元を通り過ぎようとする猛禽、
引き鉄それに触れている手が、その災悪を伝えてくる。
その内で慌てる奴の姿に、好機を悟る。
排莢不良ジャム。
足元のそれを追う様に飛び、
機体が、いきなり大きく旋廻し始めた。
この翼の逆立てた尾に手を掛け、乗り移る。
一瞬詰まった薬莢に、好機は一転。
翼が大きく揺らぐ。振り落とそうとしているのかもしれないが――
「なんだ!?」
「この程度、気性の荒い竜の騎乗に比ぶれば!」
「相棒、やべえ!
ただ速いだけならば、どうと言うことは無い。
後ろに乗り移られてる!
この距離、この位置ならば!
でけぇのが来るぞ!」
「Magnus大くよ Turbidus病み Solo荒れ Rui打ち据えよ Ventosus風よ――」
袋小路の窮地に変化した。
振り下ろす杖から、振動する風の塊が飛び出し、
座席真
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