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fate/vacant zero
竜が翼迫る雲の上
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“序文Prologium.”


 着地の衝撃で懐から飛び出してしまった白紙のはずの祈祷書は、その開かれた裏表紙に手を触れた途端、墨色に薄く輝くその一単語を黄ばんだ白身に吐き出した。

 これは……なんだろう?

 何かの魔法具アーティファクトでも使って書かれているのか、浮かんだ文字はふるふると揺らぎ、その身の積もる埃を水に浮く油分のごとく不均等に変化せしめている。

 この類の魔法具アーティファクトは、大抵が連鎖的にその仕掛けを起動させるものだが……この本はその一単語を身に浮かべたきり、沈黙したままだった。


 不良品なのだろうか?


 一瞬だけ感じた期待・・が、失望に変わる。

 結局は紛い物なのかと、だが紛い物のメイジには似合いかもしれないと。

 自らを薄く貶笑して、そっと浮かんだ文字に手を添えた。


 変化は、劇的に訪れる。

 手が金属的な冷たさを感じる文字に触れると、そこを中心とした波紋が広がるように、ぅわぁっと墨色の文字は頁全体に姿を現した。

 目が、知らずとそれを追いよみ始めた。

 タバサほどではないが、才人を喚ぶまでは本の虫になることが多かったルイズである。

 多少詰まりながらではあるが、その知識はこの古代語で書かれた文章を理解することができた。



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“序文Prologium.


 いつかこの書に気付くだろう吾が子孫のためNon dubitate quin notice animadvertio meus progenies hoc biblia olim.、吾が扱いしこの身の理の全てをここに記すOminus ars-magica hoc egomet novi commentarius in hic biblia。


 吾が力は心の力Potentia ex spons ipse meus potentia.。

 肉体に頼らずしてNon credere validus in meus corporeus,、心を指向し世を導す術なりars hic ostensum pro ducere mundas.。

 心は四つの相を見せるSpons ostensum quartus superficies.。


 強き力Potentia ex firmare,、熱く打ち勝つ心Anima transcendere aestuose,、即ち是『火』denique《Ignis》。

 包む力Potentia ex involutum,、静かに認むる心Anima tranquille tribuere,、即ち是『水』deni
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