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fate/vacant zero
霧に煙るは颪か灰か
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なんて茶化す様に往いなされる。


「いいから、答えろって!
 ここがどこだか分かってんのかよ!?」

「『勿論。トリステインとレコン・キスタの戦場まで、目測5分くらいの空中。もしくは武器の上』だと。
 もうちょい、早く着きそうだがな」


 タバサの声がシェル越しに聞こえて。

 あんまりなほど他人事な物言いが妙に苛立たしく、気付いたときにはもうそれが口を内から突いて。


「そこまで分かってんならなんで来るんだよ!
 あぶねえんだぞ、死ぬかもしれないんだ「手前ぇが言うな」」


 その殆どが口から出る前に、普段より心持ち3オクくらい低い声のシェルに冷や水を浴びされていた。


「手前ぇこそ何考えてやがる。
 この先は殺し合いころしころされする戦場だ。
 いつもの狩猟場かりばじゃねえんだぞ!
 ナマモノ殺ころすのさえ躊躇うような手前ぇが、人間ヒト殺こわせるとでも思ってんのか!? 」


 ……反論できない。

 ワルド(の分身)を唐竹割った感覚。

 ヒトの中身ぞうもつを裂く触感は呪いの如くこの身に残り、命を奪う都度甦っては意思を蝕み手を止めさせ続けている。

 だけど。


「だからって、黙って観てられっかよ!」


 もう怯んでなんかいられない。

 だから、ただ急ぐためにそう叫んだ。


「『そういうこと』だ」

「……は?」


 何が、と尋ねたらスルーされた。

 あまつさえ、


「そう、そんなことより急がねえとマズいだろう?
 問答してる余裕だって惜しいんだ、さっさと行くぞ。
 ほれ、お嬢も跳んだ跳んだ。おら竜の子、きっちり受け止めろよ!」


 なんぞと論理武装をバラマキながらいきなり空へ跳び出す始末。

 シェルの刺さっていた痕跡きずあとだけが風防ガラスに残っているのが凄いシュールだ。

 とりあえず、「たまには名前で呼んだらどうなのね」とぶつくさ言いながらシェルwithタバサをキャッチして加速しやがるシルフィを追うべく、スロットルを慌てて押し込む。


「どういうことかちゃんと説明していけコラぁ!」

「相棒、相棒。話の流れを思い出してみなって」


 ?

 ……。

 !



「え、ちょ、をま、ずっけえぞそれ――ッ!?」


 なんかもうどーにでもなれーって感じの絶叫が、風防に弾けて潰れた。





 その頃。


 暗い雲がまばらに浮かび、靄とも雨ともつかない霧が淡く立ち込めたラ・ロシェールにおいて。

 やや数を減らした王軍を率いるアンリエッタは、もはや苛立ちを隠しもせずに空のただ一点――恐らくはその厚い蒸気の向こうにいるであろうレ
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