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fate/vacant zero
霧に煙るは颪か灰か
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く浮かぶ艦隊を見やる。


 ……もし使えたとしても、この距離では減衰が酷すぎてロクな威力にならないだろう。

 スプーンの先くらいの大きさで映る巨艦など、傷が付くかどうかも疑わしい。

 シルフィードなら何かしらの先住魔法で攻撃できるかもしれないが、それが出来るならそもそも空を飛んでもらったほうが早い。


 ルイズの魔法ばくはつ?は……どうだろう?

 先ほどの空中戦で見た限りでは、彼女の放っている色のない魔法力よくわからないナニカは距離による減衰もなく一直線に騎士に直撃していた。

 にも関わらず、竜と騎士は怯みこそすれど倒れることは終ぞなかったから。

 船を落とすなど、夢のまた夢というもの。



 ……と。

 そこまで考えを進めて、そういえばまだ試していない手があったことに気付く。

 ルイズの魔法を、地下水シェルンノスが強化すればどうだろう?

 元々ドットスペルに使用する程度しか精神力を注いでなくても、竜の鱗は無視していた。

 なら、トライアングルやスクウェアクラスのスペルともなれば。

 もしかすると……?



 "軽い思いつき"は、イメージに膨らまされて"淡い希望"へと変化した。

 他に取れそうな手段もこれとはなく、シルフィードも未だ目を覚まさない。

 先ほどの様子なら、精神力が足りないということもないだろうし、一度試してもらおう。

 そうして、シルフィードのたれている木の方を、改めて振り向いた。


 ルイズは墜落した時から変わらず、その木の根元で足の内側をぺたりと地に付けて座っていた。

 違っているのは……地面に開かれた、何も書かれていない革表紙の本を、彼女は食い入るように睨みつめていること。



「……ルイズ?」



 思わず洩れた不審げな声の問いかけにも答えず、ルイズは只管それに目を通している。


 パラリと、ページのめくられる音が、やけに大きく響いて森に吸い込まれた。







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