霧に煙るは颪か灰か
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なんだよ、と渋々シルフィードから視線を外して。
正面を向くと穴。
丸い穴。
否、筒。
それを囲うは四角い穴。
そして金属装甲の施された壁。
「 !?」
時を止めたような長い長い一瞬の間を知覚する。
それがこっちを向いた艦の大砲であると気付いた才人が咄嗟に桿を引き。
速過ぎるF-15イーグルに攻撃のタイミングを取り損ねた正面の砲がようやく火を噴き。
つまり、F-15イーグルが砲から飛び出し裂け散りだしたそれ・・を飛び越すようにかわしたのは、必然でありながら偶然だった。
砕ばらけて弾はじける、玉風黍とうもろこし。
避けたF-15才人も、船底を潜ろうとしたシルフィードタバサとルイズも、砲はなった『レキシントン』号ボーウッドらすらも巻き込んで、颱暴弾かぜのひまわりが空に開いた。
颱暴弾ショットガストとは、最低8つ以上の風石と、時限信管的な役割を担う2つの炎石を、鉄鋼獣バレッテの皮製の袋にまとめてぶち込んだだけの簡素シンプルな手製砲弾のことを指す。
相互に作用し魔法力的過負荷をかけられた炎石が、着弾衝撃などで石の耐久限界を超えることにより自壊発動し、その熱による連鎖自壊に巻き込んで起動する風石から放たれる怒涛の風圧が、皮袋ごと周囲の大気を掻き乱す。
端的に言わば、一種の爆弾である。
また、風石の風は微量ながらも冷気を伴っているため、袋が裂ける段階では熱は殆どなくなっており、実質この弾が生じさせる物といえばただ一つ。
「っ、っぉ、の――くそ、言うこと聞きやがれこのポンコツっがぁ!」
「ぁ相棒、推進力がヒキツケ起こしちまったぞ! いっぺん寝かしなおせ!」
縦に横に、複雑怪奇な回転を加えながら、F-15イーグルを更なる上空へと吹っ飛ばすほどの、アホみたいな威力の突風のみである。
起爆剤たる炎石から風石への延長線方向に指向性を持つため、風石をケチったものでは発射の際に内部で石がバラけてしまい、指向性なんぞ何処吹く風とあまりにも乱雑に吹きまくる暴風に敵も味方も誰が巻き込まれるか全く分からない単なる危険物と化したりするこの弾だが、竜などの風を頼りに宙そらを漂う者に対しては最も顕著に効力を揮うのだ。
きりもみする機体の中、才人はコントロールを取り戻すべく奮闘しているが、まったくコントロールが効きはしない。
回転がむやみやたらと変化していて、翼が風を捉えきれないのである。
そうこうしている内にも、外の状況は刻一刻の変化を見せる。
中の一人と一本は気付いていないが、F-15イーグルはその歪な放物線軌道の頂点に到達しつつあった。
もうあとは、落ちるに
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