霧に煙るは颪か灰か
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――失われたものへの餞はなむけだ。何としても、双つの騎兵を叩き墜すぞ!」
彼の剥き身の心を溢しつつ、湧き上がる戦機に令を下す。
「本艦右舷はそのまま、全火力をもってラ・ロシェールへ牽制を続ける。
左舷及び揮下各艦隊は対空砲戦の準備! 颱暴弾の使用を限定許可する!
急げ!」
異口同音の了解が、艦上甲板を埋め尽くした。
「やったな、相棒! ――ん? あいぼー?」
「……」
降下部隊の方から上がって来た竜騎士隊の尽くを殲滅せしめた才人は、テンションの上がったデルフに何も返さず艦『レキシントン』へ舵を取ると、シートに沈み込むようにもたれこみ宙を見つめだ。
「どしたい相棒。まぁださっきの戦いのこと気にしてんのか?」
才人は答えず、未だトリガーに掛かったままの両手を見つめる。
「なにか殺すたびにその調子だと、どっかでその内潰れっちまうぜ?
戦場ん中に飛び込もうってんだ。割り切っちまいなよ、相棒」
割り切る。
「いや……ダメだ。そんなんじゃダメなんだ」
一瞬浮かんだそのイメージに首を小さく震い、顔を上げた。
「人を殺すのに、慣れたくないんだ。
それじゃアイツと、あのヤロウと何もかわらねえじゃねえか。
出来る限り、それが出来る限りは、オレは人を殺したくない」
「――やっぱバカだね、相棒は。
嫌いじゃねえが、ホンモノの馬鹿だよ。
敵を助けて大事なもん失くしちまうような間抜けに成らないことを祈んぜ」
デルフが、呆れているのか喜んでいるのか微妙なため息をつくようにぼやく。
「流石にそんな状況じゃ体が躊躇わせてくれねえって……。
いや、そもそも俺が気にしてたのはそっちじゃなくてな」
「あ? ああ、ひょっとしてアレか」
「ひょっとしなくても、アレ以外に何があるかよ。ったく……」
彼らの間、アレで通じ合ったその対象は羽衣の心持ち前方十時下方を付かず離れず往くシルフィードの背中の上。
全く失敗しながらも華麗に足止めの役割を果たす『火球ファイヤーボール』の理不尽な、というか不毛な手応えを噛み締めている。
「自分であんだけ危ないから行くなっつっといて、なんで自分が来るんだよアホルイズ。
タバサたちが来てたから、なんとなく嫌な予感はしてたけどさぁ……」
才人は、正対した竜騎士隊がその鼻先を前触れなく爆発させるまで、ルイズが来ていることに気付かなかったようだ。
「ま、乙女なんていつの何処で誰だろうが似たり寄ったりなことするもんさね。
……ってゆうかさ相棒。もう手遅れかもしれんけど、前見れ前」
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